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旅行者の安全のために-東京観光財団・災害対策セミナー(3) 浅草はまち一丸で大規模訓練

東京では外国人旅行者の避難誘導対策など、災害時を想定した訓練に取り組んでいる地域がある。都内有数の外国人訪問先である浅草では、東日本大震災翌年の12年から毎年1回、帰宅困難者と外国人観光客対応訓練を実施している。

「国際防災観光地に」

台東区や浅草寺、警察や消防、鉄道やNTT、仲見世など地元商店会まで含めた大規模訓練の実現に旗を振ったのは、地元、どじょう専門店5代目で浅草観光連盟のメンバーでもある飯田唯之さん(どぜう飯田屋)。

飯田さんは強烈な後悔と自戒を込めて地震発生の日を振り返る。

「3・11は私の失敗の日です。深夜までまちにたくさんの人が足止めされていたのに、職住一体が多いこのエリアでは、私も含め、当日商売人は自宅で寝ていました。浅草は人情のまちじゃなかった」

訓練には地元の日本語学校の生徒たちも外国人旅行者役で参加するほか、実際の外国人旅行者にも共助として救護訓練を体験してもらう。これまでの訓練では、地震発生時の基本動作とされる姿勢を低く、頭を守り、揺れが収まるまで動かない「シェイクアウト」の徹底や、一時滞在施設への誘導、救命訓練、情報伝達など、地域の幼稚園児も含む700人規模で実施している。

「旅行者を災害弱者にしない態勢づくりで、浅草を国際防災観光地にしたい」と飯田さん。今年の訓練では首都直下型地震への準備として想定震度を震度6強にあげる。倒壊する建物も現れる揺れで、地域住民による避難誘導もできない状況を想定した訓練になる。観光客には一時滞在施設などを記した地図を渡し、自分で逃げてもらう。

そのため新宿エリアと共同で、都の広域支援型商店街事業補助を受けた外国人旅行者向けの防災ガイドブック「おもてなしガイドブック」を作成した。両エリアの防災マップのほか、災害時に使えるアプリなどを紹介している。今年の訓練は3月8日10時30分に開始する。

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