人手不足生き抜く術―“ダイバーシティ”に注目 関西JTBたびネット会・講演会
関西JTBたびネット会(野田美雄会長=夢旅人)の講演会で、関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科の佐竹隆幸教授が「人が新たな価値をつくる経営を目指して―働き方改革・企業の持続的付加価値に不可欠なダイバーシティ・マネジメント」と題して話した。
佐竹教授は「2018年を境に大学の新卒者の数が激減する。一昨年から人手不足の話がよく出るが、19年以降は大企業にとっても人手の問題は深刻化する」と指摘。
1970年代にはアメリカやヨーロッパでも現在の日本が抱える少子高齢化と同様な人手不足の問題が起こったが「3人以上の子どもを産むと所得税が半額されることや、小学校から大学までの授業料を無料化したことでフランスやドイツでは問題を克服した」との事例を紹介した。
しかし「こういったことができたのはヨーロッパの学校には私学がなく国公立だからできたことで、仮に日本がこの2年で爆発的に人口が増えても20年間は人手不足が続く」とも話し、抜本的な取り組みの必要性を訴えた。
また人口が増えているフランスでは70%、アメリカでは55%が婚外子であることも紹介し、女性が1人でも子どもを育てられる環境づくりが必要だと指摘。そのためには人種や性別、年齢、信仰などにこだわらず、従業員の多様な個性を活用することで組織を強化する「ダイバーシティ・マネジメント」が不可欠であると述べ、これからの国の施策に注目すべきだと語った。
講演会は、関西JTBたびネット会の新年互礼会の一環として開かれたもので、会場となった大阪市北区のザ・リッツ・カールトン大阪には会員や旅館ホテル関係者約80人が出席。野田会長は「JTBの組織改革や旅行業法の改正による旅行サービス手配業など業界を取り巻く環境の変化はめまぐるしいが、そういった業界の中にあって少しでも役立つ会にしていきたい。ぜひご協力を」と呼びかけていた。
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