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シリーズ地旅:三方よしの精神が生んだ「近江の旅」

大阪市淀川区のジョイックスは2007、08年と2年続けて着地型旅行企画「白洲正子の近江を歩く」を実施した。随筆家の故・白洲正子さんが著作「近江山河抄」などで、滋賀県の湖東から湖北地方を何度も取り上げ絶賛していたにちなみ、ゆかりの地を訪ねるツアーだ。

ジョイックスの益田学社長は、滋賀県近江八幡市の出身。創業してから4年後の96年には近江八幡市にも営業所を開設し、同時に湖東地域のホテルや観光施設などでつくる「まんなかの会」に賛助会員として参画した。地域活性化に取り組むまんなかの会で、着地型旅行の開発に取り組み始め、市民向けのツアーやイベント開催などに関わってきた。

その中で、白洲正子さんが我が故郷を好きで頻繁に訪れていたことを知る。会のメンバーで調査し、旅行商品化へ乗り出した。白洲さんの遺族にも掛け合い、ツアーに名前を冠する承諾を得た。コースは、白洲正子さんが絶賛していた西国三十三カ所第31番札所・長命寺、琵琶湖に浮かぶ沖島、近江八幡市街のヴォーリズ建築の見学などを組み込んだ。

旅行作家の西本梛枝さんの協力も得て「地域の歴史を前面に出し、地域を売る商品になった」(益田社長)ツアーは、第1回目を07年1月に実施することを決めた。マスコミとのつながりが深い、まんなかの会のメンバー休暇村が広報を担った。ちょうど、戦後の日本が復興していく上で連合国との交渉などで名を馳せた白洲次郎、正子夫妻の生き様が再脚光浴び出したことも重なり、ツアーはマスコミでも取り上げられた。関西をターゲットにして35人を集客。西本梛枝さんの案内や地元の人たちの交流も好評だった。

2回目は08年12月、首都圏をターゲットに実施した。1回目と同様、休暇村の広報ネットワークや会のメンバーが直接上京するなどして、新幹線の米原駅発着のツアーにもかかわらず20人を集めた。新潟から参加した人もいたという。

益田社長は、着地型旅行商品の開発を故郷が生んだ近江商人の「進取の精神」になぞらえる。「今の時代、独り勝ちは良くないし、できないですよ。地域の皆で地域を売って、お互いが喜んで相乗効果を上げていく。売り手よし、買い手よし、地域よしの“三方よし”の精神でしかできません。仕入や価格の設定は我々の本業ですから何とかなりますが、お客様に満足を提供し、地域が喜ぶためには時間と手間ひまをかけ地元に土着しなければできないことです」。進取の精神を共有するまんなかの会のメンバーが協力しあい実現したツアーだと思っている。

(09/04/22)

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