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東北地方太平洋沖地震・被害は軽微 仙台・秋保温泉・佐勘東京営業所の竹上さん

11/03/16

震度6強から6弱の揺れに見舞われた宮城県仙台市。仙台市太白区秋保(あきう)温泉の旅館には16日11時30分現在も電話が通じていない。秋保温泉の老舗旅館「伝承千年の宿 佐勘」東京営業所の竹上憲雄さんと電話で話した。

「地震直後は現地と電話がつながったんですが、それ以降は電話が不通です。ただ、現地では15日の夜から電気が回復し、昨夜はファックスでやり取りができました。今朝からはまたファックスの通信状況もよくないです。インターネットでの情報交換に努めています」

現地は、電気は復旧したものの水道、ガスは止まった状態が続いている。地震直後以降、電話連絡ができないことから、竹上さんは13日、自宅の埼玉県蓮田市から車で秋保温泉に向かった。蓮田市から仙台市までは約350キロ。一般車は東北自動車道を使えないため国道4号線で移動した。

「午前11時ごろ出発して着いたのは午後9時ごろでした。福島県に入ったころはもう夜でしたが、電気はついていました。それが宮城県に入ると真っ暗で信号も消えていて、運転は怖かったです」

佐勘では社長の佐藤勘三郎さんや旅館に残っていた数人の社員と小さなテーブルを囲んだ。小型発電機による電燈とロウソクの灯り、それからテーブルには小さなラジオが1台。

佐勘は13階建てを含む3棟の建物からなる定員950人の大型旅館。地震発生当日は約160人が宿泊する予定だった。そのうち100人は団体で、地震発生時には旅館内で会議をしていた。宿泊客、従業員とも地震によるケガなどの被害はなく、建物も大きな損傷はなかった。ロビーの一枚ガラスの破損のほか、宴会場の化粧板の一部やシャンデリアの電灯が数個落下した。

会議中だった100人は帰路につき、予約客もすべて宿泊をキャンセルした。ただ、交通手段がなく現地に足止めされた人たちの宿泊を急きょ300人ほど受け入れた。電気、ガス、水道がないなか、固形燃料で炊く「釜ごはん」やお造りを食べてもらった。

以降は休業状態が続いている。建物や従業員の被災がないため、現地では連休明けの22日にも営業を再開したい意向もあるが、いずれも水道、ガス、燃料などライフライン次第の状況となっている。

「他の旅館も外観は普段通りで同じような状況ではないでしょうか」

竹上さんは14日正午ごろに帰路につき、午後11時ごろに自宅に着いた。

「ひび割れた道路の補修工事が始まっていて迂回指示などが多かったので、帰りのほうが時間がかかりました。ガソリンは行きに福島市あたりで入れました。それでも日曜は開いているスタンドが多かったですが、月曜は宮城、福島県内は1軒もありませんでした。栃木県に入ってようやく開いているスタンドが増えてきました」

佐勘東京営業所では地震後、宿泊キャンセルや旅行会社からの問い合わせへの対応に追われている。

「旅行会社の人と話すと、東北や関東に限らず、すべてのエリアへの旅行キャンセルが増えているようです。このまま自粛ムードが広がれば観光業界全体がダメになってしまうと心配そうでした」

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