コラム「象の指環」
11年11月10日号
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加盟する、しないで喧しい。マクロ的にはともかく、観光的にはどうなんだろうと想像してみる▼プラス面では「第3の開国」と喩えられるぐらいだから外国人が訪日しやすくなり3千万人突破が前倒しできるかもしれない。日本の先端医療を受診しようとたぶんメディカルツーリズムも飛躍的に伸びそうな気もする▼だけど、とも思うのだ。反対派がいうように日本の農業がほぼ壊滅すると地産地消はこっぱ微塵、地域振興で盛んになってきた食によるまちづくりや宿の特色づくりも頓挫しそうだ。ましてや賛成論者が指摘する強い農業づくり=農業の大規模化が進むと、地方が売りにする「日本の原風景」なども痛手を受けるんじゃないか▼TPPと観光―他人事ではなく検証する必要がありそうだな。(T)
(トラベルニュースat 11年11月10日号)
11年10月25日号
プリプリの食感で肉厚もある。試食したラー油で和えたものは、白ごはんとの相性も良さそう。本当はこんなに旨かったのね、キクラゲ▼中華料理で見た目のアクセントぐらいしか役目はないんだろうと思っていた。ところがどうして、ビタミンDや鉄分など栄養価も高いらしい▼熊本県天草で昨年からキクラゲの栽培を始めた杉田みつ子さんに食べさせてもらった。「シイタケの産地はいっぱい。シメジは信州でしょ」という心意気がまたいい。(T)
(トラベルニュースat 11年10月25日号)
11年9月25日号
立ち入ることの許されない場所が現にあり、もともとそこにいた人たちにいつ戻れるかも示されていない。でも、その隣はまったく大丈夫。噂のレベル▼東京電力の原発事故損害賠償で、観光業の賠償額が減らされるという。原発周辺4県の観光業への風評被害は、地震や津波の影響も2割はあるでしょ、だから賠償額を減らしますよ、というのが東電の言い分▼全国が対象のインバウンド限定の賠償基準は、3月11日時点で予約のあったキャンセルが対象で、しかも解約時期は5月末まで。世界は6月から「日本は無条件に安全だ」と認めたらしい▼この根本的なズレは、我々が何度も口にする「観光業は平和産業」「安全安心が旅のパスポート」が伝わっていなかったからだ。「地域の総合産業」に至ってはまったく。観光立国として憂国の事態。(T)
(トラベルニュースat 11年9月25日号)
11年9月10日号
8月末に移転した。何でこんなもの大切に残していたんだ、というような資料、本がどっと出た▼残している理由が分からない。しかもご丁寧にもファイルに綴じている。そうかと思うと「おぉ、こんないい資料を持っていたのね」という発見もあった。これが死蔵ね、と悟った▼新しい事務所は個人的なスペースが限られているし、穴倉的な場所から蛍光灯の真下に来たので、他のスタッフの監視も厳しい。資料のメタボ化は大丈夫そうだが。(T)
(トラベルニュースat 11年9月10日号)
11年7月25日号
ジョーと対決したホセ・メンドーサ(あしたのジョー)、湘北と戦った山王工業(SLAM DUNK)。もうあきらめるだろうと思った相手がひたすら向かってくる▼昔から定番の筋書き。7月はその琴線に触れました▼次号8月10日号は夏休みとさせていただきます。(T)
(トラベルニュースat 11年7月25日号)
【番外】想定外とスーパークールビズ
流行語なんて生まれづらい時代に、いつまでも流行語大賞でもないだろうと思いつつ、今年の流行語大賞は「想定外」で決まりだろうけど、「スーパークールビズ」もトップ10には入るかなと、ちょっと調べると、2005年に「クールビズ」がトップ10に入っていて、当時の小池百合子環境大臣がクールビズを主導した政府の代表として受賞していた。
(11/07/25) »続きを読む
11年6月25日号
「放射能についての誤解や風評で外国から旅行者が来なくなっている。正していきたい」。日本観光振興協会の西田厚聰会長のあいさつを2度聞いたけど異議がある。外国人が来ないのは誤解や風評ではなく、原発がメルトダウンし、今でも放射能が漏れ続け、堆積し、海に放出され安定化していないからだ▼日本全体が放射能に汚染されていると信じている外国人がいるなら、それは風評被害かもしれない。しかし比較にならないほどの最大の風評被害は、原発は安全だと40年以上に渡って流布されてきた噂のことを指す。原発の安全神話という風評による被害に今、日本は直面している▼風評は混乱期のエクスキューズの魔法の呪文ではない。福島第一原発の2、3、5、6号機にプラントを納入した事実は事実なのだから。(あ)
(トラベルニュースat 11年6月25日号)
11年6月10日号
休日1千円が6月19日で終わる。残す週末11―12日も、18―19日も遠乗りする予定はなく、私的にあんまり恩恵を感じなかった。ETCを付けたのは去年の夏だったし、休日の高速道路の渋滞を想像するとビビってしまっていた。不協和音も聞いたが、人が動くという意味では効果は大きかったんだろうな▼前後して、国家公務員の給料が削減されることがニュースになっていた。国家公務員の数って、家族も考えると百万単位の規模になるんだろう。その財布に直接的な影響を与えてしまっては、自粛しかないだろうな▼どうせなら給料を減らすのではなく使途を東北旅行に限る、とかした方が面白いのに。無責任だけど▼自粛ムードの払しょくを声高に叫んでいた人たちが次から次へ、自粛ネタを作っているような気がする。(T)
(トラベルニュースat 11年6月10日号)
11年5月25日号
旅行ガイドブックの「るるぶ」。例えば現在販売されている香港版は、総頁数の7割が食う、買うの情報で占められているらしい。スケルトンツアーで行き、現地でひたすら買い食い。それが海外旅行の型になっている▼関西大学の山口誠先生によると、少し前まではまち歩きや歴史コラムが巻頭を飾っていた。だけど、それがスイーツ情報に駆逐されるのと相関して若者の旅行離れが進んでいったとか▼業界側の都合による思考停止は恐ろしい・・・。(T)
(トラベルニュースat 11年5月25日号)
11年4月25日号
「私たちの文明はこの試練に耐えられないかもしれない。謙虚な気持ちで模索しよう」。宮崎駿さんのコメントをスポーツ紙で読んだ▼それは彼のアニメに出てくる人物と共通している。絶望からは虚無を生む。怒りに任せた罵りは何も生まれない▼だけど、もがき苦しみ模索する。今を精一杯生きている者だけが文化を創り新しい文明を築く。ナウシカのように▼恐れ、おののき、謙虚であるのは、そう悪くはない。(T)
(トラベルニュースat 11年4月25日号)




