コラム「象の指環」
11年4月10日号
喪に服しているんだと思っている。これだけ多くの同胞が亡くなって、喪に服するのは自然だと思う。自粛と呼ばれるものは喪に服する形の表れで、非難や憂慮に当たらない▼ただ、いまだに花見をするべきか、自粛すべきかの議論をせざるを得ないのは不幸だ。政府は震災後すぐに、国民に1週間なりの喪に服するよう求めてもよかった。喪が明けることが、力強く日常生活を再開するきっかけになる。力強い日常が、被災地の復興を手助けする▼放射能の不安が続く東京も被災地なのだ。水道水の摂取制限が出た週末、家族で横浜市の動物園に行った。当時、東京の動物園は休園していた▼とてもリラックスできた。先週末は少し足を伸ばし江ノ島で泊まった。素晴らしい週末だった。もうすぐ、みんなも旅のよさを思い出す。(あ)
(トラベルニュースat 11年4月10日号)
11年2月10日号
暮れから年明けにかけて山陰の豪雪にはじまり、北陸のドカ雪と相次いだ。「卯年で飛躍」するつもりが思いっきり雪で滑ってしまった▼大雪で特急列車が立ち往生する映像を公共放送に繰り返し全国放映された福井県の知り合いは、大河ドラマのことを棚に上げて少し恨んでしまった。「だけどぉ、嘆いていても仕方がないんですってば」と福井弁で話し始めた。確かに大雪ですけど、朝倉氏遺跡や永平寺は普段とまったく異なる趣きで、今しか見られない別世界です、と▼そうですよ、亀のように着実に挽回しましょう。(T)
(トラベルニュースat 11年2月10日号)
10年11月25日号
親父が植え、子どもが育て、孫が刈り入れる―。孫の笑顔を想像し、下草刈りや枝打ち、間伐を続けてきた。それを親父が一代で儲けることを強要した結果、森は荒れてしまった▼事業の是非はともかく、先日の観光庁概算要求の事業仕分けのやり取りに違和感を持った。費用対効果を声高に叫ぶ側、いわゆる従来型の観光に異を唱えニューツーリズムの必要性を説く側、双方に。まちづくりが、観光事業化が一朝一夕でできるのか、と問いたかった▼兵庫県城崎温泉は「このさき百年計画」として、温泉地としての未来ビジョンを示した。国が先進地としている欧州も自らの生活文化を守り、それを観光に昇華するため気の遠くなるような時を経ている▼まあ、そもそも論で観光とは、国境とか国家から独立した存在だろうけれど。(T)
(トラベルニュースat 10年11月25日号)
10年11月10日号
「○○ってどこですか?」。信号待ちの車から尋ねられた。ちゃんと車から降りて聞けとは言わず、丁寧に教えてあげた▼道を聞かれるのは久しぶり。カーナビやGPSが普及したせいなのかもしれない。2つとも縁がないのでわからないけど、ほんの少し前までは道を聞くことはあいさつみたいなものだったと思う。「じゃあ一緒に行きましょう」とか言われて仲良くなるスイッチが入ることも珍しくなく、逆にガイド本や地図を持ってキョロキョロしている人を見かけて声を掛けたり▼ところで、受け入れ機関の皆様にご愛用いただいている近畿7府県の全登録店舗を記載した「旅行業者さく印2011年版」が11月11日にできます。CD版もあります。セールススイッチがオンになる必携本です。取り急ぎご報告まで。(T)
10年8月25日号
太陽もアスファルトも熱く、広い交差点を渡りながら、フライパンで焼かれる目玉焼きになった気がした。熱中症で亡くなった人も東京23区で100人を超えた▼数年前、フランスでも熱中症で高齢者がたくさん亡くなった。ニュースを読みながら、どれほどの非常事態かと思ったけど、自分の街に起きてみると、普通に生活しているものだ。でも、東京発の熱中症のニュースを、世界は近寄りがたい気持ちで見ているかもしれない▼友人はこの夏も外国人旅行者をガイドしながらのバイクツアーをしている。猛暑にひるまない参加者も多い。アブダビはもっと暑いよ。香港よりはマシみたい。マンチェスターは2週間ずっと雨だったから嬉しい。世界は広い。ノートラベル・ノーライフ。東京総局は新橋から新川に引っ越しました。(あ)
10年7月25日号
親しい蕎麦屋の大将が「去年の冷夏で、国産の蕎麦を手に入れるのに四苦八苦してるねん」と嘆いていた。そうだった。涼しい夏でした▼今年はというと、豪雨の梅雨が明けたと思ったら、猛烈な暑さ。極端過ぎて、毎度の俗世の選挙結果が天上に反映されたような▼次号8月10日号は夏休みとさせていただきます。(と)
10年6月10日号
ここまできたら、行財政改革で取り組むべきは、首相ポストの事業仕分けじゃないだろうか。最近、首相ポストは、ずっと国のお荷物になっている▼在任1年程度で何人の首相が辞めていったことか。首相だけに、辞任も辞めさせるのも難しい。そのことで多くの時間が費やされる。首相がいることのメリットよりデメリットが大きいんじゃないだろうか▼大臣なら辞任は簡単だ。政治資金、愛人問題。すみませんとあやまって辞めればいい。政策は大臣の合議制でいいし、国家間協議には、誰かが全権特使としてあたればいい。首相ポストがなくなると政争も減るし、政治もずいぶん円滑になるだろう▼それに、もしかしたら首相が機能を果たせなくなったのは、個人の資質の問題ではなく、システムが古くなったからかも知れないし。(あ)
10年5月25日号
露出の多い服を着てスタジアムで陽気に踊り応援するブラジル人女性。ハーフタイムには各国の美女が次々とテレビに映しだされる。その国に行きたくなる▼6月11日からサッカーW杯南ア大会が始まる。延べ数十億人が観戦するW杯の観客席は、世界最大の「国民見本市」でもある。各国のサポーターのファッションや応援も観賞の対象だ▼喜び組ってわけにはいかないだろうし、美女やイケメン以外の出国制限も難しい。日本から現地に入るサポーターに、テレビ映りでもがんばってもらいたい▼前回の事業仕分けで、どこかの独法では海外出張に支度金を出しているとあった。観光庁も観戦チケットを持っている人に、衣装やメイク代として支度金を出してはどうだろう。W杯は訪日旅行をアピールする絶好の機会なんだし。(あ)
10年5月10日号
知人がGW前の大手旅行会社店舗に周遊券を買いに行った▼同時に指定席も頼んだ。GWなので空いている列車がわからない。「調べてもらえますか」とお願いした。「研修中」の名札をつけたお兄さんはパソコンをせわしなく触る。うまく調べられないらしい。カウンターに時刻表があったので「これで」と知人。でも示されたページは「それ平日ダイヤですけど」▼先輩社員が来た。「お客様どちらへ」「○○です」と伝えた途端、余裕の表情がフリーズ。知らないらしい。時刻表の地図で探し始めるが、全然見当違いの場所。ほかのスタッフも集まりだした。後輩の手前、こっそり「ココ」と教えてあげる▼ようやく買えたが「カードのお支払い、一括にしておきました」と。いいけど、一応聞くでしょ、フツー。(T)
10年3月10日号
オリンピックより優先すべきセミナーはどれくらいあるだろう。アイススケート男子500メートルの2回目。長島、加藤両選手の滑りを見てしまうと、取材に遅れるかもしれない。どちらを優先する▼銀銅を見届け、ぎりぎり間に合ったセミナーでは、約1時間、「NHK大河ドラマは歴史的にでたらめです。見ないほうがいい」と歴史学者の講演。そのわりに篤姫がどうの、直江がどうのと詳しく、よく見ているじゃないか。大河ドラマは見ないし、どうでもいい▼別のセミナーでは大学教授の講演。「みなさん、勝ち組は価値組です。価値を生み出したものが勝ち組です」。仕事とはいえ、これを聞くために、真央ちゃんの演技をパスしていたら取り返しがつかないところだった。勉強会を捨てオリンピックを観戦しよう。(あ)




