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コラム「象の指環」

08年4月25日号

先日、福井県大阪事務所のIさんに永平寺に連れて行ってもらい、生まれて初めて座禅を体験した。私たちのほかに、母娘2人が一緒だった▼若い雲水さんに禅堂へ連れていかれた。母親は少し足が悪いらしく、遅れがちについてきた。禅堂の控えで、雲水さんは我々に「私語は一切ご遠慮ください」などと、いくつかの注意と作法を話した。凛として静かに語りかける口調に緊張感が増した▼座すまでの作法も細かく、畳の前に板がはってあり、そこは雲水が食事を置く場所なので、手も足も一切触れてはならないということだった。板に触れず畳の方へ身体を移動させるのは、なかなか難しい動作だった▼隣りの母親が静寂を破った。「あたし、足が悪くて」と言いながらペタペタと板を触り、足を置き、娘が思わず「ちょっとお母さん」と言ったところで、母親は「わはははは」と笑い始めた▼雲水さんを見ると、表情を変えず無言で凛としたまま。貴重な体験だった。(T)

(トラベルニュースat 08年4月25日号)

08年4月10日号

♪ねじれてねじれてキャッキュッキョ、シャッシュッショ、チャッチュッチョ、うーん、ねじれてー♪ カリキュラマシーンの名曲、タイトルは知らないけど50音のねじれる歌だ▼4月1日以降、ガソリン代が下がって、福田首相は謝罪会見をした。値下げを防げなかったのは残念だと。年金だの、防衛庁だの、米軍の犯罪者野郎や、サイコ殺人者野郎の放置、新銀行東京の現状だの謝ることはほかにたくさんあるだろうに。新銀行は別の人だった▼1974年からずっと続くガソリンの暫定税率。暫定の意味さえ変えてしまうほどの長さ。74年に結婚し33年連れ添った暫定夫婦はすでに銀婚式を終え、妻は間近に迫った夫の定年後の離婚をスケジュール帳に書き込んでいるというのに▼ところで冒頭のねじれる歌だけど、このあと歌はさらに、な行、は行、ま行、ら行、が行、ざ行、だ行、ぱ行へと続く。ねじれもくびれも嫌いじゃない。さあ歌える人はご一緒に。(あ)

(トラベルニュースat 08年4月10日号)

08年3月25日号

行きの地下鉄で1巻目を読み終え、羽田空港で「沈まぬ太陽」の2巻目を買った。2日後の石垣島で3巻目、帰りの羽田空港で4巻目を買いモノレールに乗った▼1985年8月12日に起きた日航機の御巣鷹山墜落。当日のNHKのニュースで、当時キャスターだった木村太郎が500人以上の乗客全員の名前を読み上げるよう記者に指示していたのを覚えている▼悲惨な事故でも、やがて新聞記事にも飽きて、今では日航機墜落は年表に加えるだけの記号に変わっていた。当たり前だけど、それはただの記号じゃなかった。新聞とは違う、小説の伝える力を思い知らされている▼昨年、47歳で初めて山崎豊子を読んだ。大地の子だった。有吉佐和子といい、女性はすごい。取材も物語も、やっぱり男より女だと思う▼石垣島へは往復ともJAL系だった。最近、千歳と小松で許可前滑走や、滑走路への誤進入を続けているJALの機中で読む、沈まぬ太陽は強烈だった。(あ)

(トラベルニュースat 08年3月25日号)

08年3月10日号

大阪産業創造館が実施した「コラボde繁盛」というイベントに行った。旅行をテーマに、様々な業種から出展してもらい、旅館の新しいビジネスモデルを創出するマッチングを促そうというものだ▼出展ブースすべては回れなかったけれど、いくつかの出展者から話を聞いた。もしかすると地域のお荷物になっていたかもしれない行政主導の大規模スポーツ施設とコラボレーションし、今度は食品メーカーとコラボして「アスリートカレー」を販売しようとしているスポーツに特化したホテルの社長。環境保全を背景に1台の車を複数で使用するカーシェアリングを旅館に売り込もうとする社長。既存の旅行は止めてドバイやインドへの視察だけを売り込む旅行会社...▼その後少しして、JATA経営フォーラムではセコムの会長から「捨てる勇気」なんて話を聞いた▼新しいビジネスモデルが何かは皆目見当がつかない。でも、尖っている人は面白い。(T)

(トラベルニュースat 08年3月10日号)

08年2月25日号

ガッタ、ガッタ。忌野清志郎の復活コンサートに行ってきた。喉頭がんを克服し、清志郎が武道館に帰ってきた▼2月10日、武道館。開演予定を10分ほど過ぎ、あちこちで歓声や手拍子が起きるなか、ステージ脇の2つの大きなスクリーンに初老の坊さんが映し出された。なんで坊さんの写真なんか▼うかつにも2枚目の坊さんの写真に変わるまで、清志郎だとは気づかなかった。それは、がんの治療で、髪の毛が抜け落ちた頭に、少しずつ髪が生えていく様子の、おそらく病室で撮った連続写真だった▼「いいことばかりは」「ドカドカうるさい」「ようこそ」「多摩蘭坂」「雨上がり」。ビシバシ熱いラブソング。声もでかくてすごかった。「治っても、小さい声で歌わなきゃいけなくなるのかなって心配しました」と清志郎▼帰り。一緒に行った女は、「清志郎を見ないで、かっこいいってことを語らないでほしいよね」と至言を吐いた。かっこよかった。おかえり。(あ)

(トラベルニュースat 08年2月25日号)

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