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キャラバンのあり方

17/05/10

砂漠の中をラクダの隊列が進んでいく―。それが、ペルシャ語のカールヴァーンに由来する「キャラバン」の一般的なイメージだろう。危険を伴う行程中の自身と商品の安全を守り、遭難しないための術として隊列を組んだ。日本語では「隊商」と訳される。

我々の業界では観光団体が旅行会社へ送客の要請に出向いたり、地域が大都市圏のターミナルなど街頭で配布物を一般客に手渡し誘客を促すことをキャラバンと称している。観光団体の事業計画として数多く行われている活動だ。

一方で「キャラバンをしたからといって客が増えることはない、まったく意味はない。やる側の自己満足だ」という、キャラバンの効果に懐疑的な声も業界内で囁かれている。

ある団体の長から「キャラバンでは劇的にお客が増えないのはわかっている。しかしキャラバンを行う目的を明確化し、準備、打ち合わせ、反省会などで横の連携を深める、という価値観で捉えると、意味がある場合もある」と聞いたことがある。

集客という目的とはかけ離れるが、捉え方によってはキャラバンの意義が見えてくる。砂漠の中を行く隊商が異なる文化の交流・融合の機会を生み新たな価値を創造していったように、現代版キャラバンだからこそできることもあるはずだ。

(トラベルニュースat 17年5月10日号)

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