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捲土重来の秋 "トリプルパンチ"から復興へ岩手(2)

―地震後の状況を教えてください。

佐藤(以下、略) 2回の地震とも、岩手県内の宿泊施設では人的被害はありませんでしたが、宮城県では旅館が押し流され、宿泊客、従業員、経営者家族が犠牲になりました。いまだに行方不明の方もいらっしゃいますので、1日も早く発見されることを祈るばかりです。

岩手県観光協会 佐藤義正理事長に聞く

―旅館ホテルへの影響はどうですか。

そうした大きな被害もありましたので、岩手・宮城内陸地震の翌日から宿泊キャンセルの電話が殺到しました。7月15日までに岩手県内の宿泊施設のキャンセルは3万8000人にのぼり、ようやく落ち着いたと思ったら今度は7月24日の岩手北部地震で、さらに4200人の宿泊キャンセルがありました。7月31日現在の宿泊キャンセル数は4万5000人です。

県内の旅館ホテルは売上で7月が25%減、8月は25―30%程度落とすのではないかと見ています。トップシーズンだけに厳しいと感じています。今はキャンセルは落ち着きつつありますが、秋移行の予約が心配です。9月の予約はよくありませんし、10月の予約はまったく見えないという状況です。

―誰になにをしてほしいですか。

消費者の方々に岩手も宮城も元気にがんばっていることを知ってもらいたい。新幹線も高速道路も、一部を除き観光地も温泉地も地震前と変わりません。岩手県については8月に入り、組合加盟施設はすべて営業しています。こうした正確な情報を知ってもらいたいですね。

ただ、山が崩落し、道路が寸断された映像はあまりにも強烈で、実際には震源地の一部の被害だということを、なかなか理解してもらえません。

―JRや旅行会社への期待はいかがでしょう。

平泉の世界文化遺産登録が7月初旬に予定されていたこともあって、岩手県、JR東日本、県観光協会が一体となって7―9月まで岩手・平泉観光キャンペーンが行われています。しかし、風評被害の影響のほうが大きいというのが現状です。

10月からは宮城デスティネーションキャンペーンが始まりますし、10月からは岩手県の宿泊施設で2万人宿泊キャンペーンを実施する予定です。なんとか盛り返したいと思っています。

(トラベルニュースat 08年8月25日号)

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