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"取消"パンデミック 新型インフルエンザが直撃(2)

この時期、観光業界団体は総会シーズン。総会で会ったある旅行会社は「足で稼いできた大企業の仕事6千万円が今回の騒ぎで吹っ飛んだ」。また別の会社は「GW明けの仕事はキャンセル電話受けのみ」「みんな元気やけど、会社がインフルエンザや」。

関西中心にキャンセル急増 事態打開へ旅館が動く

その中で「学校関係のキャンセルは行政指導によるもの。その場合の取消料はどこに支払いを求めていいのやら」とは切実。大手の中には休校中の学校に限って、延期を前提に取消料を免除する旅行会社もあるが・・・。

国際観光旅館連盟近畿支部(西村肇支部長)は20日、大阪市内の支部事務所で「新型インフルエンザ対策緊急会議」を開いた。

席上、こんな発言があった。

「今回のケースは約款上、ちゃんと取消料はいただける。ところが『こんな事態で客からもらえるわけないやろ。オマエの所だけや、そんなん言うの』という旅行会社は少なくない。まるで火事場泥棒みたいな言われ方だ」と旅館経営者が憤っていた。「キャンセル料がないと分かると、負の連鎖が収まらない」とも。

修学旅行がピークの京都の状況にも驚く。「京都市内だけで19日現在、720校15万人がトケた」。食中毒のように保険の休業補償もなく、1年で一番の稼ぎ時を直撃した影響はとてつもなく大きい。「首都圏の学校からは、京都で1人でも感染者が出たら即キャンセルと予告されている。まだどれだけ拡大していくか予想もつかない」と。

「社員の給与が支払えなく恐れも」「接客係がマスクを付けて料理は出せるわけがない」「行政が防災無線で外出を控えるように、とアナウンスする。自治体の正しい情報発信、スキャンダラスなマスコミ報道で、近畿がさも汚染地域のように報じる問題は大きい」など、今回の騒動が観光業界を直撃している実態が続出した。

西村支部長は「観光庁はこういう時のためにできた。打開、復興策へ動こう」。翌21日に東京へ行くことを決断、国会議員や厚労省、文科省などへ陳情活動に行った。

(トラベルニュースat 09年5月25日号)

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