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スポーツ観光で日本を変える 溝畑観光庁長官(2)

バンクーバー冬季オリンピックが閉幕したばかり。多くの人の関心がスポーツに向いているなか、Jリーグ・大分トリニータ社長から2代目観光庁長官に転身した溝畑長官にとっては、スポーツ観光を語れる絶好の機会となった。

観光、宿泊と関連付け 経験生かし陣頭指揮

1月に長官に就任して以降、観光地域振興課内に「スポーツ観光推進室」を新設するなど取り組み強化中のスポーツ観光。講演では、その目指すところと施策について自らの経験を交えて語り、参画を呼びかけた。

「2000年に自治省から大分県に出向した当時、私の成功のイメージは、大分の人が自信と元気と誇りを持ち、なにごとも自分で切り開く活力を持つことでした。その目的にJリーグが使えると思いました。スポーツはする人、観る人、支える人を1つにします。なにもないところからサッカー日本一を目指すことで、成功のイメージを実現できると考えました」

その後、大分県は2002年サッカーW杯日韓大会の試合会場の誘致に成功、2008年には大分トリニータがナビスコ杯で優勝を飾る。

「決勝の東京会場へは大分から1万5000人が駆けつけました」

成功のイメージが実現したことを、実感するできごとの1つだったかもしれない。

J1在籍時代、トリニータのホームで行われる浦和レッズ戦には、浦和から8000人のサポーターが応援に訪れていた。しかし、ほとんどは空港とスタジアムを往復するだけだった。スポーツと観光を関連づける作業はこのときから始まる。

「トリニータの経営者としてはチケットが完売した時点でOKです。しかし、地域としては滞在してもらわないとダメ。その後の取り組みで8000人の3分の2が大分県内に泊まるようになりました。スポーツと観光は絶対につなげなければいけません」

こうした取り組みを全国に広げることが、観光庁が取り組むスポーツ観光の主眼になっている。スポーツ観光では、スポーツを、観るスポーツ、するスポーツ、支えるスポーツに分類する。

日本が持つ世界的にもハイレベルな観るスポーツとしてはプロ野球、Jリーグ、バレーボール、プロレス、大相撲など。また、するスポーツとしてはマラソン、ハイキング、トライアスロン、サイクリングをあげていた。

「観るスポーツでは、観光とスポーツの相互乗り入れを進める必要があります。観客に観光や宿泊をしてもう。逆に滞在メニューとしての観るスポーツ。スポーツの国際大会は国際観光と同じことです。するスポーツは観光の穴場です。各地で開かれるマラソン大会などには、参加者の家族がついてきますから」

そして支えるスポーツ。多くのスポーツ大会は多くのボランティアに支えられ、域外からのボランティア参加も多い。

(トラベルニュースat 10年3月10日号)


スポーツ観光で日本を変える 溝畑観光庁長官(3)に続く

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