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じゃらんに質す 実質手数料アップに旅館業界反発(2)

今回の協議は箱根旅館組合が要請した。旅館組合からは60人、リクルートからは冨塚優執行役員旅行カンパニー長のほかエリア担当者など11人が出席した。

「集客増のため」 リクルート、理解求める

じゃらんネットは、新ポイントプログラムの導入とシステム利用料の改定を11年4月に行うと発表している。システム利用料は1人利用について従来の4%を6%に値上げする。2人以上利用については、システム利用料は従来通り8%で据え置きとしたが、新ポイントプログラムでシステム利用料とは別に2%が契約宿泊施設に請求されることになり、旅館業界は実質的に8%から10%への値上げだと反発している。

箱根旅館組合ではリ社が契約施設に対しシステム変更の事前通知を始めた9月中旬以降、一方的な変更と負担増への懸念、変更の目的や2%の根拠などについてエリア担当者に見解を質したのをはじめ、11月9日には質問への回答と協議の開催を文書でリ社に呼びかけてきた。

今回の協議は質問書と文書によるリ社からの回答を踏まえ行われた。

冒頭、冨塚・旅行カンパニー長が新ポイントプログラムの導入について「宿泊客を増やすための仕組みづくり」と理解を求めた。新ポイントプログラムの正式な名称は「じゃらん×ホットペッパーポイントプログラム」。じゃらんとリ社が運営する美容院検索サイト「ホットペッパービューティ」のポイントが相互利用できるようになり、カスタマーの利便性が向上する。来年度以降、ポイント相互乗り入れを飲食やスクール部門にも拡大する計画もあり、冨塚・旅行カンパニー長は「ホットペッパーのカスタマーを宿泊に誘導したい」と話した。

一方、1人利用のシステム利用料アップについては、「原価の高騰」を理由にあげた。検索結果の上位に表示されるために大手検索サイトから購入するサーチワード費用の増加や、今後必要なシステム改修費に数十億円かかることなどを説明。一方で、じゃらんネットの年間利用者が5千万人泊に迫っていることや、箱根エリアも含め年間の取扱が20%増程度伸び続けていることなどを紹介しながら理解を求めた。

これに対し旅館側は「どのくらい宿泊者が増えるのか分からない状況で2%の投資はできない」「なぜ旅館が2%全額を負担するのか」「リーディングカンパニーの手数料が10%になれば、他の予約サイトも追随してしまう」などと見直しを要求。また、ポイントの経理上の扱いが売上なのか預かり金なのか問い質した。

約款は「じゃらん×ホットペッパーポイントプログラム利用約款」にある「宿泊施設に事前通告なく同プログラムの内容変更をする場合が一方的通知によりある」とする内容を旅館側は問題視し、条文の変更と事前の協議を求めた。

冨塚・旅行カンパニー長は「我々にできる最大のことは旅館にカスタマーを送ること。2%はじゃらんの利益のためではなく集客のため」とポイント制度の開始に繰り返し理解を求めながら、料率と経理上の扱いについて、社内で早急に検討するとし、約款についても旅館の全国団体と協議する意向を示し、条文の変更についても可能かどうか検討することを約束した。

(トラベルニュースat 10年12月10日号)

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