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西日本に人の流れ創る 九州新幹線が追い風(2)

九州新幹線は震災の翌日に静かな滑り出しとなったが、ゴールデンウイークを境に乗客数は右肩上がりで増えている。開業から半年の9月までの乗客数は、JR西日本の調べによると新大阪―西明石間は前年比102%にとどまるものの、博多―熊本間は138%。西へ行くに従い数値が伸び、「目に見えて九州新幹線全通の効果」という。

個人旅行ベースで倍増 関西から

個人旅行商品ベースの概算で、関西方面から南九州を訪れる旅行者数は前年のほぼ2倍。その中でも航空機利用が落ち込んだというわけでもなく、「市場が3割ほど増えた」(JR関係者)。

関西客が増えたという実感は、鹿児島や熊本の土産物店スタッフやタクシー運転手からも聞こえる。「関西弁で価格を値切るお客さんが増えた」「運チャンと呼ばれることが多くなった」。なかにはエレベーターで右側に立つ人が目立つという声も。

12月いっぱい展開するDCがさらに追い風になるのは確実。JTB西日本の日比野健社長は「3カ月のDC期間中、対前年150%を軽く超える」と見通し「あとどれくらい上乗せできるか」と算盤を弾く。

8日のオープニングイベントで熊本県の蒲島郁夫知事は、JR九州が相次いで投入している観光列車を使った南九州の旅をPR。

「九州新幹線で熊本へ来て『SL人吉号』で鹿児島へ。『あそぼーい!』で高千穂、宮崎へ。今日から運転を始めた『A列車で行こう』では天草、長崎へ行けます。熊本はバレーボールのセッターです。たくさんの人に来ていただき、アタッカーの鹿児島と宮崎にトスしたい」と話していた。

九州発はこれから本格化

一方で、九州から関西への動きはまだ緒についたばかり。JR西日本が調べた個人旅行パックの販売実績は前年比114%で、関西の倍増に比べるとまだ弱い。大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの来場者は7月に前年の1.5倍を記録し、九州客が増えたというが、本格化するのはこれからだろう。

オープニングイベントで関西の関係者を代表してあいさつした近畿運輸局の石津緒(はじめ)局長は「九州新幹線が開通し、九州と関西はグッと身近になりました。関西はものすごくいい所がたくさんあります。このキャンペーンをきっかけに九州、関西がもっと交流して西日本から日本を元気にしましょう」と呼びかけていた。

イベント後、熊本市内のホテルで開かれた関西・九州交流会で、JR西日本の柴田信取締役常務執行役員は「両エリアが一緒になって旗を振ろう」。JR九州の福島和彦取締役も「相互交流が観光業界全体に広がっていくようにしたい」。

両エリアの観光関係者は今後も定期的に集まり、相互交流の促進を確認。関西から瀬戸内を経て九州に至るインバウンド向けルートの開発や教育旅行などをテーマに分科会を設ける方向でまとまった。西日本に人の流れをつくる構想だ。

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