昨年、竹富島に2度行って
1年前の今頃、26年ぶりに沖縄県竹富島に行った。4半世紀ぶりって、自分の時間を世紀を使って表現できる年になった。48歳。ご同輩、ご機嫌いかがですか。
なんで4半世紀も来なかったんだろうと、つくづく思った余勢で、8月にも再び竹富島に行った。そのときは、4半世紀ぶりに西表島にも行った。
3月の竹富島は3日ともほぼ雨で、それでも残念じゃなかったし、まったく退屈しなくて驚いた。もともと、なにをするつもりもなかったし、なにもすることがないからって退屈とは限らない。観光地が体験、体験と、旅行者の暇を恐れるように時間を埋めたがるのはどうなんだろう。過渡期なんだろうな。
雨の合間を、中央の集落からコンドイ浜まで歩き、砂浜で本を読んだ。「沈まぬ太陽」。山崎豊子はすごい。有吉佐和子といい、やっぱり女はすごいと思った。トキだって海を渡ったのはメスだし。
20メートルほど離れたところでフランス人家族(たぶんフランス語だった)のママが大きな声でネコを追い払っていた。トラを追い払うような勢いだった。フランス人といってもブリジット・バルドーばかりじゃない。
かつてBBと言われ、CCとともに、子ども心にあの胸は憧れだった。
竹富島には家ネコだか野良ネコだか地域ネコだか、ネコが多く、そして人懐っこい。時間が解決することは多い。そのうちフランス人ママもネコと仲良くなったようで、なにか食べ物をあげていた。

コンドイ浜のネコ。人懐っこい
竹富島のコンドイ浜にフランス人旅行者。8月には石垣島の離党ターミナルでも外国人カップルのバックパッカーを見かけた。隅々まで来ているんだなあと思った。
雨は降ったり止んだりだった。降りがひどい間、なんとかというそば屋でオリオンビールを飲みながら、俳句を考えた。「ここの沖縄そばは最高」なんて口コミサイトににたくさんあったけど、そうは思わなかった。だからって別に文句はない。月に1回、高田馬場で句会に参加している。そば屋でつくった句は、その月の句会でほとんど相手にされなかった。
春雷を素足で仰ぐ珊瑚みち
星砂の露地を曲れば彼岸かな

雨のサンゴ道。路地には水溜りが
素泊まりの民宿だったので、夜、食べにでかけた。昼間、目星をつけておいた1軒で、テーブルは屋外だった。オリオンビールと泡盛、なにやら食べているあいだ、店の女性が適当に話し相手になってくれて楽しかった。店で懐中電灯を売っていた。そうか、ハブがいるんだった。やはり夜道を歩くときのハブよけ用とのことで、懐中電灯がなければケータイの画面で照らしながら歩いたらいいと教えられた。
「でも噛まれる人いるの」「3カ月くらい前に、この店でバイトしてた男の子が噛まれたんですよ。足がすごく腫れている写真をシャメで送ってくれました」。民宿まで、ケータイで道を照らしながら、なるべくサンゴの垣根から離れ中央を歩いて戻った。
夏の竹富島は3日間、快晴だった。石垣島から最終便近くで竹富島に渡った。竹富島への運行会社は3社あり、海を背に左側の船会社のカウンターで往復チケットを買った。
「竹富島往復2枚ください」。チケットの用意をしているから聞こえているんだろうけど、下を向いたままこっちを見ようとしない。返事もないので、少しかがんで顔をのぞきこみながら、「竹富島往復2枚ください」と繰り返してみたら睨まれた。まあ、顔をのぞき込むっていうのも大人気ない。旅行中のテーマは寛容だったのに、もうつまずいてしまった。こんな販売員に会ったときの正しい対応を知りたい。
椅子に座って往復チケットを眺めながら、やっぱり面白くない。カウンターに戻って払い戻してもらい、海を背に右側の船会社で買いなおした。寛容はどこにいった。料金は同じ、出航時間も所要時間も同じ、販売員の感じもよかった。返事をしてくれただけだけど。返事してほしい。

石垣島の離島桟橋から竹富島へ
民宿で夕飯を食べてから西の桟橋まで散歩した。ちょうど夕焼けの頃で、西表島の黒い大きな影が茜空のなかにあった。この景色のなかでオリオンビールを飲んでいることを気に入った。サンダルを脱がせ1歳の子どもを白い砂浜に置いてみた。透き通った海にこわごわ足を入れると、もうそのままあがるのを嫌がった。
朝食を食べ終えしばらくすると、白いワンボックスカーが隣のレンタル自転車屋に次々と客を運んできた。そう、運ぶ感じ。アルバイトの従業員が自転車を素早く割り振り、もたもたしている客には大柄な態度で気に入らない。竹富島の観光客は年間40万人を超える。だから、こんなんでもやっていけるんだよな。竹富島は石垣島からの日帰り客が多い。自転車やマイクロバスで1日島内観光すると、ホテルのある石垣島に戻っていく。

竹富島の家並み
連れ合いに誘われて牛車に乗ることにした。4半世紀前にも牛車はあったけど乗ろうとは思わなかった。あんなものは観光客が乗るんだろうと思ったのかどうか。団体が多いから予約したほうがいいと教えられ、午前中に予約し夕方牛車に乗った。御者は途中三線を弾きながら、「安里屋ゆんた」を歌った。牛車は歌詞に出てくるクヤマという美人が住んでいたという家屋の前を通る。そう、美女。美女はいい。
客が多いこの時期は牛車も数が増えるようで、数台連なって走る。御者は水牛のうんこは素早くバケツで受け止めるけど、おしっこはサンゴ道に垂れ流しされる。3月に来たときは気にならなかったけど、同じコースをこれだけの水牛が歩いているのを知ると、サンゴ道とはいえ、うかつに裸足で歩けないと思う。

観光客を乗せ闊歩する牛車
翌朝、子どもはぐったりして、食欲もなく、嘔吐して、発熱した。民宿の車で島の診療所に連れて行ってもらい、そこで診察してもらった。小さいけどきれいな診療所で、夏の期間だけという着任したばかりの20代の若い男性ドクターの診察を、後でたぶん常駐しているベテランドクターが見守っていた。2人して優しく言葉をかけながら丁寧に診察してくれた。軽い脱水症状とのことで薬を出してもらい、ジュースでもなんでも飲みたいものを飲ませ、それでも症状が改善しなければ石垣島の小児病院で点滴してもらうようアドバイスされた。
予防法としては水分をまめに取らせることと、おしっこの量が少なくなっていないか注意することが必要だそうだ。1歳の子どもと南の島に行くときは脱水症状に気をつけてあげてください。民宿の人に診療所まで迎えに来てもらい、部屋を昼過ぎまで使わせてもらい、港まで送ってもらった。親切と寛容。やっぱりテーマだな。
竹富島から石垣島へは船で10分ほど。15分かな。石垣島に着くと子どもは歩けるほどに回復した。パックのジュースを飲みながら離島ターミナルを歩き回るのを見て、予定通り西表島に渡ることを決めた。
西表島の話は、また機会があれば。
(阿部政利)
(09/04/02)
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