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ガタゴト、ブラブラ歩き 半田市、武豊町界わい

国の大動脈、東海道線より早く開通した鉄道が知多半島にある。JR武豊線。1886年(明治19年)に開通し、もちろん現在も現役。沿線もまたレトロで半田市、武豊町のまち歩きが楽しい。ローカル線にゴトゴト揺られ、醸造業が盛んなまちをブラブラする。

風情ある懐かしい町並み 酢の香り、産業遺産・・・

ガタゴトブラブラ歩きは、半田市のJR亀崎駅から始まる。亀崎駅の駅舎は、現役として最古の建物。駅舎内の建物資産標には「M19年1月」と記されている。

亀崎では毎年5月3、4日に「亀崎潮干祭」が開かれる。海浜に山車を曳き下ろす。国重要無形民俗文化財に指定されている。

半田市は、江戸時代に海運で栄えたまちで、往時のまま運河沿いには醸造蔵が建ち並んでいる。半田産の酢は江戸にも知られた特産で、今も主要産業の一つ。半田駅から10分ほど歩くと、かすかに酢の香りが漂うような気が。環境省の「かおり風景100選」に選ばれている。

おっと、半田駅にも貴重な鉄道文化遺産があった。レトロな跨線橋が架かっているが、これは1910年(明治43年)に設置された全国最古の跨線橋。

また、駅前には牛のレリーフが設置されている。知多で盛んな酪農は、ここから始まった。今人気絶頂の「知多みるく」ゆかりの地とも言える。

半田運河を目指していくと、目にするのが博物館「酢の里」。日本唯一の酢の総合博物館で、酢造りに関する資料が多い。ミュージアムでは、江戸時代からの酒造りの道具を展示し、効き酒も楽しめる「國盛 酒の文化館」にも立ち寄りたい。

古い建物では、国の登録有形文化財で近代化産業遺産にも登録されている「半田赤レンガ建物」を見ておこう。1898年にカブトビールの製造工場として建造され、第二次世界大戦時には中嶋飛行機製作所の倉庫として使われた。今も北側の外壁には銃撃痕が残っている。年数回行われる内部公開イベントでは、明治の味を再現した復刻カブトビールが限定販売される。

半田市は童話作家、新美南吉の生誕地。「ごんぎつね」で知られる南吉が喫茶店や書店に通い歩いたとされる「紺屋海道」もブラブラしよう。染物屋が軒を連ねていたことからこの名がついた。今も風情ある家並みが懐かしさを感じさせる。

JR武豊線に乗って終着駅、武豊駅へ。

武豊駅周辺にも鉄道文化遺産が点在する。駅から南へ、国道247号線を越えたところに国の登録有形文化財の「転車台」が保存されている。明治から昭和初期まで、海運の拠点として賑わった名残りだ。倉庫から荷を運ぶ貨車を移動させるために設けられたのだそうだ。駅から一番近い武豊線の橋梁は、明治初期のレンガ、切り石造りのまま残る。

転車台のあたりは、味噌とたまり造りの生産拠点。武豊の醸造業は、江戸・元禄期から始まり、同じ桶でたまりと味噌を熟成させる画期的な仕込み法を完成させたという。武豊線が開通し、武豊港が海運拠点として賑わったころには海外へも輸出。50軒あまりの蔵元がまち中にあったそうだ。

味噌蔵が建ち並ぶ
武豊のまちを歩く

現在8軒の製造加工業者があり、「南蔵」などでは味噌蔵の見学ができる。武豊の文化・工芸ショップ「ぎゃらりぃ夢の蔵」では、地元の味噌、たまりを使ったパン、キャラメルなどを販売している。お土産にどうぞ。

武豊町の「南蔵」で
味噌の仕込み桶を見学

武豊で新しいスポットと言えば「メガソーラーたけとよ」。中部地方で最大級の太陽光発電所で、1メートル四方のパネル約3万9千枚が年間730万キロワットを発電する。来年10月から見学可能だ。

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