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決定の瞬間に立ち会った 旅館青年部の思い

8年前から応援を続けた

群馬県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部(横手誠二部長)は8年前から富岡製糸場の世界遺産登録を信じて応援してきました。当時、青年部で県の世界遺産推進室(現・世界遺産推進課)を訪ね、「我々に何かできることはないか」と申し出て、ポスターやリーフレットを何万部か預かり、青年部の宿や地域のガソリンスタンド、観光協会の窓口、地元の食堂などに設置をお願いしたり、宿のHPにリンクを貼りました。

そのころはまだ世界遺産の暫定リストに載ったわけでもなく、本登録への道のりは誰もが遥か遠くに感じられていました。もし富岡製糸場が世界遺産になったら、県民としてどんなに嬉しく誇らしいことだろうと思っていました。

当時の世界遺産への推進運動は県主導でしたが、私たち青年部は「地元住民の理解と熱意、そして県民の熱い想いにより富岡製糸場を世界遺産に押し上げる。その意識がなにより重要」だと考えました。

青年部の先輩(久保英弘さん)から今年の4月末ごろ「世界遺産登録の認定発表に一緒に行かないか」と誘われ、私は「行きましょう」と答えました。場所も日にちも分からないのに「とにかく行こう」ということだけ決まりました。

「調べるとカタールのドーハで開かれることが分かりました」。カタールってどこだ。

(法師温泉・長寿館の岡村建さん)

群馬県

誇りと責任を胸に、後列中央が大澤正明・群馬県知事。
前列左から久保さん、岡村さん
(6月21日、ドーハで)

灼熱の地で鳥肌がたつ

外気温45度。巨大な樹木が屋根を支えるような造形のカタール・ナショナルコンベンションセンターの内部は快適で、ドーハにいることを忘れるほど。イコモスの事前審査では、登録が確実視されていたものの採択されるまでは不安でした。

大澤知事を筆頭に県議や県関係者ら、私たち応援団は11番目の審査対象「富岡製糸場と絹産業遺産群」の発表を祈るように、いや祈りながら待ち、そしてとうとう順番がきました。数十カ国から賛同する発言があり、登録は30分足らずで決まりました。

灼熱の地にいながらその瞬間、私は鳥肌がたち、震えがきました。世界に承認されたということは、県や国を越え、この価値を守る責任が一層厚くなる。群馬県民として、世界に伝承していかなければならない役割が明確になったのですから。

活動をともにした群馬県青年部の皆さま、ありがとうございました。

(谷川温泉・別邸仙寿庵の久保英弘さん)

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