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「坂の上の雲」をつかみに 愛媛・松山

09/12/25

司馬遼太郎の名作「坂の上の雲」の舞台である愛媛県松山市には、主人公の秋山好古・真之兄弟、正岡子規ゆかりの地が点在している。11月から始まったNHKスペシャルドラマの放映を機に盛り上がりを見せる松山を訪れ、物語の雰囲気を肌で感じてみたい。

秋山兄弟生誕地やミュージアム

まずは、物語の全体像を知るために「坂の上の雲ミュージアム」へ。市が推進する、市全体を物語の博物館と見立てた「フィールドミュージアム構想」の中核施設で、2007年にオープンした。

主人公たちの直筆資料やパネル、映像などを展示し、兄弟と子規の足跡、明治時代や松山の文化など物語の背景に触れられる。10年2月までは企画展「秋山好古」を開催している。

3月には、「『坂の上の雲』のまち松山スペシャルドラマ館」が松山城ロープウェイ駅舎2階にオープンする。ドラマの衣装や小道具、ストーリーのパネルなどが展示される。

次は軍人・秋山兄弟ゆかりの地を訪ねる。兄弟の生誕地は、戦火で消失した生家を再現。兄弟に関する資料や写真などを展示している。好古が学んだ藩校「明教館」は、今は松山東高校の敷地内にあるが、事前予約で見学できる。三津地区にある兄弟や子規が上京のため松山を発った船の発着場「きせんのりば」跡も興味深い。

文人・正岡子規の足跡もたどれば、松山文学にも触れられる。子規堂は、子規が青春期を過ごした住居を再現した文学資料館で、親交のあった夏目漱石に関する資料も見ることができる。愚陀佛庵は、漱石の住居だが帰郷した子規も身を寄せた。2人が文学に目覚めた空気が漂う。市立子規記念博物館では、子規直筆の原稿などの資料を展示しており、子規の文学や松山の文化などが学べる。

松山の新しい"食"

せっかく松山を訪れるなら、地域で話題の新たな「食」も味わいたい。新しい、といっても元々松山市内の家庭で祝いごとや訪問客をもてなす際に出していた料理にストーリー性を持たせて提供するようにしたものだ。

「もぶり飯」は松山酢ともいわれ、小説「坂の上の雲」のなかにも登場する。エソやトラハゼなど瀬戸内の小魚で出汁をとった甘めの合わせ酢で寿司飯をつくり、その中に刻んだアナゴや季節の野菜を混ぜ込み、その上に錦糸卵をちらして季節に応じた瀬戸の魚介類を盛り付ける。小説に根付く地域の風土を味わうにはもってこい。興味をそそる。

また、「活き鯛飯(いきたいめし)」という郷土料理も美味。主に宇和島地方で食されているものだが、新鮮な鯛の身を三枚におろして醤油やみりん、玉子、ごま、だし汁で調味したタレに漬け込み、タレごとそのまま熱いごはんにかけて食べる。

もぶり飯と活き鯛飯はいずれも道後温泉や大街道などに出店する「すし丸」という店などで食べることができる。マドンナバスの食事付きコースのうち、道後エリアでの食事場所にもなっている。

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