東北方面が人気 年末年始の旅行動向予測
2011/12年の年末年始(12月23日―12年1月3日)は国内、海外旅行ともに旅行に出かける人が増えそうだ。JTB、楽天トラベルなどが実施した旅行動向調査でわかった。国内では、東北新幹線の延伸や平泉の世界遺産登録で東北方面が好調なほか、九州も新幹線全通効果で引き続き人気を集めている。
JTBの動向調査では、年末年始に1泊以上の旅行をする総人数は3008万4千人。自社の予約状況や1200人のアンケート結果などから推計したもので、これは前年比で1.5%、40万人あまり上回る。このうち国内旅行は前年比1.4%増の2948万8千人、海外旅行は同4.7%増の59万6千人。
国内旅行については、家族旅行が7割以上を占め、旅行目的も「実家で過ごすため」が4割を超えた。いずれも昨年より増えており、JTBでは「親族や友人とのつながりを深めるため」と分析している。クリスマス3連休(12月23-25日)に旅行するパターンと、12月30、31日に出発のピークを迎える2つの山がこの年末年始の特徴でもある。前者では夜景やイルミネーションが楽しめる都市やテーマパークが人気を集めているほか、温泉地や北海道、沖縄などの予約が好調。後者は、航空機や新幹線、長距離バスなどを利用して、東北の花巻や志戸平温泉、鹿児島の指宿温泉の人気が高く、東京スカイツリー周辺や東京ディズニーリゾート(TDR)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)10周年効果で大阪方面も増えそうだ。平均旅行日数は昨年を0.1日上回る3.6日になる見込み。エースJTBの「ペットと泊まれる宿」商品の予約が好調で昨年に比べ30%以上伸びている。
海外旅行は、燃油サーチャージの値上げを上回る円高メリットで昨年を上回りそうだ。この年末年始は連続休暇が短いもののクリスマス3連休、年明けの1月7-9日の3連休を生かしたスケジュールを組むことができる。ヨーロッパ方面は12月23日出発が多く年内帰国のパターン。アジア方面は期間中おしなべて予約が多いが、旅行代金の下がる1月3日発がもっとも多い。方面別では、洪水に見舞われたタイを除いてアジアが好調で特にシンガポール、台湾、香港、中国がいい。ハワイも10ポイント以上伸びそうだ。
JTB中部の調査では、12月上旬での国内旅行商品の販売状況は前年比23.5%増。方面別では、近場がUSJ、飛騨美濃、信州が前年を大きく上回っている。ロングは沖縄、九州、北海道の順で売れ行きが好調だ。
楽天トラベルがまとめた動向調査では、国内旅行が前年比25.2%増と予測されている。旅行予約がインターネットにシフトしており、前年調査に引き続き高い伸びを示している。
国内旅行でも特に高い伸びを示しているのが、秋田同81.9%増、山形同51.1%増、青森同39.5%。東北6県平均でも同24.2%増となり、楽天トラベルでは「東北の各自治体による積極的な観光施策も奏功したものと見られる」としている。沖縄は同28.7%でファミリー層の支持を集め好調。新幹線効果に湧く九州では佐賀と福岡が前年比で3割近い伸びを示している。
海外旅行ではマレーシア同92.9%増、台湾91.3%増などアジアが好調。例年人気のタイは洪水の影響で落ち込んでいる。アジア圏以外ではアメリカが同78.2%増と健闘。欧州の財政不安が影響し、ロングの旅行先がアメリカに寄っているのではないかと分析している。
海外旅行の動向は、リクルートの「AB-ROAD」に寄せられる問い合わせ件数でも前年比10%増。ソウル、オアフ島、台北の問い合わせ件数が多く、シンガポールは前年の3倍と急進している。