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生産性向上を深化 日本旅館協会、収益改善へ新研究会

16/07/12

日本旅館協会(2755会員、針谷了会長=滋賀県おごと温泉・湯元舘)はこのほど、東京・竹芝のホテルインターコンチネンタル東京ベイで2016年度総会を開き、(1)15年度事業報告と決算(2)16年度事業計画と予算―などを審議、承認した。任期満了に伴う役員改選では針谷会長を再選、副会長は10人中8人が交代した。

針谷会長は総会の冒頭に重点活動として(1)耐震改修問題(2)民泊対応(3)生産性向上(4)旅館ホテルの会計実務研究会の新設(5)クラウドによる宿泊実績調査の全国展開―の5つをあげ、それぞれについて考えを述べた。

日本旅館協会

活動の概要を説明する
針谷会長

耐震や民泊対応は政治課題と位置づけ、今後も全旅連を中心とする旅政連(全国旅館政治連盟)で対応する。耐震については、市町村独自の耐震改修補助制度の創設や、改正耐震改修促進法に基づく都道府県による旅館ホテルの避難所などへの指定を全国に普及させること目指してロビー活動を強化していく。民泊については、6月2日の閣議決定に書かれたように、新法による営業日数の上限180日以下をめぐる攻防と、民泊とのイコールフッティングを求め、旅館営業に関わる従来の規制をいかに軽減できるかを焦点に据え政治折衝を進めていく。

生産性向上は、首相官邸が観光産業を成長産業として期待するなかで、昨年度から取り組まれているもの。今年度は観光庁の主催で全国20カ所で旅館ホテル業の生産性向上を図るためのワークショップが開かれることになっていて、参加旅館を募集している。生産性を上げ、収益を高め、給与のアップを図ることで人手不足を解消し、旅館ホテル業の成長産業への押し上げを図る。

旅館ホテル会計実務研究会の新設も、収益の改善が目的。統一した会計基準を持つことにより、会員旅館ホテル間の比較を容易にすることで改善を促し、収益増につなげる。月次決算を標準とする会員組織を目指す。

宿泊実績調査は会員旅館ホテルの利用状況をリアルタイムで把握することで、震災時などでの行政支援を速やかに実現するための基礎資料とするのが第一のねらい。事業計画書には「旅館ホテル業の正確で素早い統計調査を官公庁や報道機関等にいち早く提供することで、業界並びに協会の信頼性を高め、協会の主張や震災時などでの要望が受け入れられやすい環境を整えることができる」といった趣旨が記されている。

針谷会長は、熊本地震の際に協会が政府に提出した旅館ホテルの売上の大幅減のデータが、九州への180億円の旅行振興予算につながったと話し、数字を素早く出せる態勢を全国規模で整えたいと協力を求めた。

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