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2012年は「LCC元年」 急成長の理由とは

2012年は日本の「LCC元年」と言われている。日系のLCC(ローコスト・キャリア)が相次いで就航するからだ。海外からの乗り入れも盛んで、成田や関空など基幹空港に限らず地方空港にも路線を開設している。従来の航空のイメージとは異なる「電車やバスの感覚」(ピーチ・アビエーションの井上慎一社長)というLCC。日本に定着し、日本の空を席巻することになるのだろうか。

社員の意欲が会社の原動力 エア・アジアX

LCCと言うと、徹底したコスト削減で安い運賃を提供し収益を上げるのがビジネスモデルとされてきた。事実そうなのだろうが、どうもコスト削減ばかりが誇張され、ともすれば「安かろう、悪かろう」といったイメージが先行してきた気がする。事実、大手旅行会社の航空担当者に言わせると「うちのブランドを保つ"質"があるかどうか見極めたい」などと、慎重な姿勢を示す人は多い。

しかし、昨年12月にエア・アジアXのアズラン・オスマンラニCEOの講演を聞き、LCCが急成長している理由はもちろんコストカットだけではないのだった。

アズランさんは、経済動向の変化が激しく、トレンドもどんどん変わっていく現代では「長期の経営計画は無理」と断言する。「誰が顧客なのか。その顧客に事業を引っ張ってもらい、企業文化を形成する」ことがエア・アジアXの経営計画なのだという。

大手航空会社はビジネスマンのスケジュールに合わせフライトスケジュールを組む「受け身のビジネス」。対して、LCCは今まで航空機に乗ったことがない人にも「働きかけるビジネス」。それは、ビジネスマンの仕事に合わせることなく駐機時間を短くし、航空機を効率よくフライトさせ、昼や深夜にも乗ってもらうため働きかけるということなのだ。

エア・アジアXは、長距離LCCであり、LCCとして初めてフライトベッドを導入した。これは、ビジネスクラスを利用する客から得た機内食にキャビアが出ることより、寝たいという声によるものだそうだ。客から直接声を聞き、それを事業化するスタイルを貫いている。

客の声を生かすためには職場環境も大切で、職場は間仕切りがなくチーフエンジニアとチーフパイロットが隣り合わせでいたりする。キャビンアテンダントがパイロットに転じるなど、社員の成長意欲が会社の成長を後押しする。

アズランさんの話は、客も社員も気持ちよく過ごすことがLCC発展の原動力というものだった。「5席のうち4席はハッピーなお客様に座ってもらうのが目標」なのだという。

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