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「るるぶ」創刊30周年 旅への役割を聞く(1)

JTBグループが発行する「るるぶ情報版」が発刊から30年目を迎えた。2010年にギネスから発行点数が世界最多の旅行ガイドブックと認定されるなど、30年間の総発行部数は3億8千万部に及ぶ。いまや国民的旅行ガイドブックでもある。「るるぶ」が旅行市場に果たしてきた役割、切り開いてきた新しい旅行の形などについてJTBパブリッシング出版事業本部国内情報部長の宇佐美睦さんに聞いた。

新しい観光地は「東京」

―30年を簡単に振り返ってください。

宇佐美 るるぶ情報版の第1号は84年8月に発行した「るるぶ京都」です。「るるぶ」という言葉が初めて使われたのはもう少し古く、73年にJTBが発行していた月刊誌「旅」の女性向けの別冊でした。いわゆるアンノン族の時代、女性が積極的に旅をし始めた時代です。「るるぶ」はそうした時代に生まれました。

87年に「るるぶ」は新しい分野に挑戦します。「るるぶ埼玉」の発行です。従来、観光ガイドブックは京都・奈良、鎌倉、伊豆箱根といった観光地のラインナップが主流で、埼玉県という1つの県を取り上げた初めての試みでした。ここからいわゆる観光地だけでなく、市街地の観光スポットを紹介していく流れが始まります。都道府県や市町村のラインナップを増やし、読者に新たなデスティネーションとして提案してきました。

るるぶ

第1号「るるぶ京都」を手に
語る宇佐美さん

―まち歩きに先鞭をつけたのが「るるぶ」だった。

宇佐美 「見る、食べる、遊ぶ」という「るるぶ」の言葉に込められている思いは、動詞を使ってガイドするところにあります。見どころや食事処を点で紹介するのではなく、旅の行動を能動的に表現したことが斬新で、こうした表現法は今の旅行ガイドブックのスタンダードになっています。

―年間の発刊点数はどのくらいですか。

宇佐美 2010年にギネスから発行点数が世界最多の旅行ガイドシリーズとして認定されました。30年間の総発行部数が3億8千万部ですから、平均すると国民1人当たり2冊の「るるぶ」を手にした計算になります。

現在、年間のラインナップは市販しているものが国内161点、海外65点で合計226点です。ほとんどは毎年、内容を更新し○○年版として発行しています。

―売れているエリアはどこですか。

宇佐美 京都、沖縄、東京ですね。それぞれ1冊ではなく、京都でいえば、京都・奈良、京都を歩こうといった複数の「るるぶ」を発行していますから。

―この30年で新たに生まれた観光地はありますか。

宇佐美 東京です。30年前には東京の旅行ガイドブックをつくるという発想はありませんでした。東京に来るためにガイドブックが必要になったのは最近です。東京スカイツリーの開業、復元した東京駅を見るために東京に人が来ます。

るるぶ

京都、埼玉、東京駅から、広島カープ
法政大学などの変わり種まで幅広い

「るるぶ」創刊30周年 旅への役割を聞く(2)に続く

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