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イベントありきから脱却-スポーツツーリズムの本質(1)

観光庁が2010年ごろから、国内観光振興の起爆剤として推進してきたスポーツツーリズム。マラソンなど都市型イベントが乱立するなど一定の隆盛をみたが、イベントありきの姿勢に疑問の声もあがる。スポーツ×地域振興の本当の定着に向け、次のステージに入ったといえる今、進むべき道はどれか。キーワードは「地域に根を張った展開」だ。

地域の価値を高める

声の主は、スポーツツアーを手掛けるワンダークリック(ラウンドトリップ、大阪市中央区)社長の久保田正義さん。観光庁が旗を振る以前からスポーツによる地域振興に関わってきた経験から感じることは「地域がまずスポーツを認識すること」という。「スポーツで元気、活性化、外部交流―など地域が効能を理解することが必要。そのためには期間をとって地域に根付かせないといけない。イベントをもってくるだけではだめ」。

香川県さぬき市の津田の松原海水浴場で8月23日に「ビーチラグビー大会」が開かれる。利用客減少に悩む同海水浴場をはじめ地域活性化につなげようと地元が企画したものだ。久保田さんも実行委員会メンバーとして参加し、マイナースポーツゆえのしがらみのなさ、5人制で通常のラグビーに比べ激しいアクションも少ないことから参加しやすく家族の来場など集客力がある、特段の設備が必要ないなどの理由でビーチラグビーの活用を決めた。

開催に向け、久保田さんが地域へ送ったアドバイスは「地元でネットワークをつくること」。実行委員会を組織し、地域各所に根回しして理解・賛同を得る。そうすることで資金面や運営面での協力が可能に。「地元としては疲弊したまちに新しい素材がやってきたので歓迎されるはず」との見込みがあった。初めから地域一体で根付かせるという意識が大切との考えからの発想だ。

久保田正義さん

ノルディックウオーキングのポールを前に
スポーツによるまちおこしを語る久保田さん

ビーチラグビー導入のモデルは大阪府泉南市。同市では地域振興に生かそうと3年前に市観光協会が設立されるタイミングで、神戸で開かれていた大会を移転。久保田さんも関わり、継続して実施することで昨年は市長もあいさつに訪れるなど定着してきた。

イベントありきから脱却-スポーツツーリズムの本質(2)に続く

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