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潜在層を"起こす" 武藤友木子さん(トラベルズー・ジャパン社長)(1)

旅行関連サイトをネットサーフィンしていると、「TRAVELZOO」(トラベルズー)の広告をよく見かける。広告には「ソウル3日間1万4800円」「北海道2日間2万4000円」「箱根1泊5000円」など、国内旅行、海外旅行、旅行プラン、宿泊プランの区別もなく、行き先と料金だけが掲載されている。ソウルと箱根を並べた旅行情報サイトが流行っているのだろうか。トラベルズー・ジャパン社長の武藤友木子さんに聞いた。

厳選旅行プラン90万人に配信

―どのようなビジネスモデルか教えてください。

私たちは、インターネットの旅行情報メディア企業です。ネット上で旅行情報を扱っていますが、楽天トラベル、じゃらん、エクスペディアなどとはまったく違うビジネスモデルです。

一般的に、旅行サイトはできるだけたくさんの情報を掲載し、検索ツールなどを提供してユーザー自身に好みのプランを探してもらいますが、私たちは、そのプロセスをユーザーに代わって行っています。多くの旅行情報のなかから、プロの目で厳選した20件の旅行プランや宿泊プランのみを毎週1回、メールニュースレター「Top 20」に掲載し会員に提供しています。収益は「Top 20」への固定の掲載料のみで、掲載施設や旅行会社からコミッションはいただきません。

サービスは1998年にアメリカで始まり、現在は11カ国で、現地言語のサービスを展開しています。全世界の会員数は1800万人で、日本では2007年11月にサービスが始まりました。旅行会社、旅館ホテル、航空会社、ネットエージェントなどがクライアントで、累計では数百社とお取り引きしています。一度ご利用していただくと、ほとんどがリピートして掲載の申し込みをいただいています。

―Top 20の選び方は。

ニュースレターへの掲載が、普通の広告と違うのは、本当にユーザーにメリットがあると認められたプランしか掲載しないところです。

社内はセールス、プロデューサー、パブリッシャー(編集長)で構成されています。まずセールス担当者がクライアントから宿泊プランや旅行プランの掲載依頼を受けると、朝から晩まで最新の旅行情報をリサーチしているプロデューサーへと引き継がれ、そのプランが当該エリアの他の商品より優れているのか、他のエリアに類似のもっといいプランがないかなどを精査し、場合によってはクライアントと一緒にプランを練り直します。

そして、ユーザーのニーズや利益のみに関心を払うパブリッシャーが加わったTop 20ミーティングに諮り、パブリッシャーが掲載を認めた場合のみ掲載候補となります。候補となった旅行商品については、さらにテストブッキングを行います。いちユーザーを装って予約の電話をかけ、在庫がきちんとあり、他の商品に誘導するための見せ掛けのプランではないことや予約プロセスの簡便性などを確認した上で、「Top 20」として掲載します。こうした過程を経て最終的に掲載された場合にのみ、掲載料をいただきます。

―ユーザーにとって価値があるとはどういうことでしょう。

激安、格安ということだけではなく「お得」かどうかということを重視しています。絶対価格だけで見れば、トラベルズーに掲載されているプランよりももっと安い料金の宿泊プランが存在していることもあります。しかし、そのような場合、トラベルズーに掲載されているプランは、例えば「特別室でこの価格は非常にお得だ」というような付加価値を訴求しています。

以前、ある航空会社系の旅行会社からグアムの3泊4日の旅行プランの掲載を依頼されました。当時のボトム価格帯だった1万9800円のプランです。そのとき、他社のプランなどを比較検討したプロデューサーが、他社にもある1万9800円のプランよりも、航空会社と便指定、ホテル指定など同条件のプランで、他社より優位性がある別の5万8800円のプランの掲載を勧めました。安い商品ではありませんでしたが、Top 20への掲載によって、販売数が大幅に伸びました。

こうしたプランはバリューが高くても、たくさんの旅行情報を掲載する媒体では埋もれてしまって、結局、利益の少ない激安プランしか売れないということになりがちです。トラベルズーのニュースレター、Top 20にはプラン名と料金しか書いてありませんが、掲載プランは記事のページにリンクされていて、このページを読むと、バリューがはっきりと分かるようになっています。記事ページは通常、ウェブ上に1週間掲載されます。

潜在層を"起こす" 武藤友木子さん(トラベルズー・ジャパン社長)(2)に続く

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