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地球に優しい宿づくり 日観連・セミナー

日本観光旅館連盟(近兼孝休会長=紅梅亭、3500会員)は2月23日、東京ビッグサイト・東京国際展示場の「ホテレス・ジャパン2010」会場内で日観連セミナー「地球に優しい宿をめざして」を開催した。

木質ペレットや温泉熱利用 CO2削減へ事例示す

旅行ジャーナリストで前旅行読売編集長だった沓掛博光さんが「エコの発信は宿から」を演題に講演したほか、エコに取り組む旅館が事例発表を行った。日観連では昨年から環境に配慮した「地球に優しい宿」づくりを目指しているが、今回のセミナーはその一環。

近兼会長は「25%CO2削減に向けて協力し、少しでも国づくりに貢献できればという思いで『地球に優しい宿』の取り組みを始めた」と述べ、今回のセミナーを通して全国の旅館経営者にエコの考え方を示したい、と語った。

沓掛さんは「宿はいい意味でも悪い意味でも地域に影響を与える存在だ。そういった意味で宿が環境問題に取り組むことは大きな意義がある」と発言。

さらに「地域の生活を追体験し、地域文化に触れたい旅行者が増えており、その地域ならではの食を味わい、やすらぎたい人も多い。宿は今の旅行者が求めているものを持っており、いわば宿は観光のメーンステージだ」と言及し、宿がエコに関わることで地域全体のイメージアップにつながる可能性があると結んだ。

続いて行われた事例発表では、栃木県那須温泉・山水閣社長の片岡孝夫さんが「木質ペレットボイラー転換によるCO2の削減」を紹介。カーボンニュートラルを実施することで月平均45万円、年間で500―600万円の経済効果があったことや月平均45トンのCO2削減に貢献できていることを報告した。

長野県渋温泉・金具屋社長の西山平四郎(八代目)さんは、温泉熱熱交換によって全29室中18室の暖房、温泉熱利用による3つの宴会場と3つの食事処の暖房などにより、灯油の使用料が6分の1に減少するなどの効果をあげていることを話し、「湯量が豊富な温泉地はぜひ取り組むべきだ」と訴えた。

香川県美合温泉・ビレッジ美合館常務の衣斐恵美子さんは、温泉をすべて間伐材利用で沸かし、従来の重油炊ボイラーに比べて年間約500トンのCO2が削減でき、燃やした灰は家庭菜園で利用されていることを紹介した。

栃木県湯西川温泉の伴久ホテルの伴久一さんは、同温泉が最上流に位置することから1982年に17軒の旅館で公共の下水道をつくり、川の水質汚染防止に寄与してきたことや同ホテルが食品自主衛生管理認証制度「とちぎハサップ」に加わり、食品衛生にも注力している方針を示した。

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