楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

選ばれ続ける地域とは 国観連近畿支部総会・講演

国際観光旅館連盟近畿支部がこのほど開いた2011年度総会の後、まちづくり観光研究所の山田桂一郎主席研究員が「選ばれ続ける地域とは」をテーマに講演した。

「ライフスタイルは異日常」 まちづくり観光研究所・山田主席研究員

はじめに山田さんは、世界で災害にあった観光地のその後を紹介した。

「私の住んでいるスイス・ツェルマットで1994年、フィスパ谷が大崩落し隣村が水没する災害が起こりました。ツェルマットへの唯一のアクセスであった登山列車は105日間不通になりました。しかしこの年、ツェルマットの宿泊客数は変わりませんでした」と話し、会場になぜかと問いかけた。

2004年のスマトラ沖地震で津波に襲われたプーケットやモルジブもさほど落ち込んだわけではなかった、という。

その要因として、山田さんは(1)徹底した顧客・リピーターへのアプローチと商品提供(2)地域全体での取り組み強化とフラッグシップ(旗艦ホテル)の活躍―を挙げた。ツェルマットでは、初滑りキャンペーンを前倒しするなど、通常のオフ期対策に当たるキャンペーンを展開しリピーターが支えた。プーケットなどでは、ボランティア活動を組み込んだスタディーツアーを商品化することでファンの再訪を促すことにつながった。

一方で、能登半島地震の時はフラッグシップである加賀屋の営業再開が遅れたため、風評被害が長引いたとも指摘した。

観光復興に向けて必要なのは「安心要因」と「促進要因」を市場に提供することだという。「栃木県がいち早く観光安全宣言を出しました。それ自体は評価できますが『ほとんど影響はありません』という表現はいただけません。きっぱりと『影響はありません』としないと安心要因にはならないのです」。

では、促進要因とは何か。地域として目的を先鋭化することだという。山田さんは、消費者の選択基準の変遷を揚げた。モノ・豊かな生活を志向していた1950―60年代は「良し悪し」が選択基準、70―80年代は自己表現を志向し「好き嫌い」が基準、90―2000年代は不安を解消する「勝ち負け、損得」、そして10―20年代は態度を表明する「賛成、反対」が基準になった。

つまり、少し前までのブランドデザインの時代から「賛成のデザイン」によって、住民の賛同を得て地域をデザインすることが促進要因になるのだと話す。

「讃岐うどんがこれだけ支持されたのは、地域の人たちが三食うどんを食べるリアリティさがあるからです。ライフスタイルになっています」「ライフスタイルは非日常ではありません。異日常です。異日常はあきられないし、競合することもない」「一店舗で勝ち残るのは無理です。地域全体の利潤を向上させる『価値残る』なのです」とし、地域として目指す姿を明確化することが大切だと訴えた。

「ツェルマットは、まち中に電気自動車と馬車しか入れません。これは観光客のためではなく、自分たちの暮らしを豊かにしたいがためのルールです」「お客に善し、世間に善し、そして自らに善しの三方よし、一石三鳥が今求められているのです」。

購読申し込み
地旅
夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ