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「完璧な嵐」に備えて

08/07/25

JTB商事がトラベランドの社名だった数年前、若手旅館経営者を育成するために「旅館塾」というものを中部、関東、関西で開き、今では塾生のほとんどが旅館経営の中枢として頑張っている。

しかし、今から8年ほど前に学んだ旅館経営学では原油の高騰からくる食材単価、リネン関係などの値上げなどは想定しておらず、現在、これまで予想できなかった複数の外的要因で旅館経営が圧迫されている。

JTB商事がこのほど開いた「旅館ホテル経営セミナー」で講演を行った西武文理大学教授の松坂健さんは、前述した旅館塾の講師も務めた。その松坂さんが言う。「まもなく『パーフェクト・ストーム(完璧な嵐)・エコノミー』が襲来すると言われているが、今我々は嵐が来ても沈没しないよう船体補強、操舵術の再確認、羅針盤(行き先)の明示に取り組まなければならない」。

具体的には(1)個人に売りやすい洋室化は急務(2)集合個人型グループ客対策のスリーorフォールームズ・イン・ワンルーム(3)レストラン化を急ごう(4)徹底的なクリーニング作戦(5)仕事の兼任化(6)食材仕入の見直しなどをあげた。

リピーターの確保の重要さも訴え、ハード面ではなく「人なつっこさ」が最も大事であるとも話した。

松坂さんは「2008年、09年を生き残れば、勝ち残れる。10年には新しい海原を快走することを確信しよう」と呼びかけたが、すでに我々はパーフェクト・ストームの渦中にいるのかもしれないし、目前に迫っているのに気がついていないだけなのかもしれない。

(トラベルニュースat 08年7月25日号)

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