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国内旅行の需要喚起へ 4つのシナリオ(3)

国土交通省、厚生労働省、農林水産省の3省が共同で取り組んでいた「国内旅行需要の喚起・顕在化調査」報告会が3月24日、東京・水天宮のロイヤルパークホテルで開かれた。

休暇、障隔、団塊に焦点 国交省など3省が需要喚起の方策提言

国内旅行の需要喚起策を(1)休暇取得の環境整備(2)障害者や高齢者の旅行障壁対策(3)団塊世代や三世代旅行の促進―の3つの観点で、それぞれモニターツアーを行うなど、課題と今後の方策を検討してきた。

このうち休暇取得については、静岡県浜松市をモデル地区に産業観光やグリーンツーリズムを盛り込んだモニターツアーを実施。就業者のストレス解消や就業意欲の向上など、旅行への参加効果が明確に分かり、企業が就業者を旅行に行かせたくなるような明確なプログラムの開発や、国をはじめとする行政機関が「ヘルシーカンパニー」の概念の普及に取り組む必要性が指摘された。

また、障害者や高齢者の旅行障壁については、障害者団体を窓口にした旅行ニーズの調査のほか、実際に障害者に旅行をしてもらい、体験プログラムや望ましい受入体制のあり方について意見を聞いた。その結果、バリアフリー旅行センターや地域内、地域間の受け入れネットワークの構築、情報の共有化などが課題として明らかになった。

団塊世代や三世代旅行の促進策では、子どものころから旅を通じて文化や伝統、生活様式に理解を深める「旅育」への長期的な取り組みや、生活文化を観光資源とした地域との交流、地域の人も旅行者と一緒に楽しめるイベントやプログラムづくりが提言された。

報告に続いて意見交換会が行われた。日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)事業部長の須田純一さんは、休暇環境の改善と新しい旅行スタイルの提案を目的に「ワンウィークバカンス・キャンペーン」に取り組むことを報告し、協力を求めていた。

TIJでは6年前から、正月、ゴールデンウイーク、夏休みに加え、4つ目の旅行シーズンをつくろうと、「秋休みキャンペーン」を実施してきたが、秋休みは一定の認知を得たとして、今度はワンウィークバカンスの浸透を図る。

また、経済同友会の近藤学さんは有給休暇の取得促進を企業に頼るのは難しいとの見方を示していた。むしろ若者の旅行促進策の検討を促し、同様に旅行をしないグループとして宿泊業と飲食業の就業者をあげ、「受入側の人がもっと旅行に出かけることが大事」と、観光業界に携わる人たちの旅行を促していた。

(トラベルニュースat 08年4月10日号)

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