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2010年の観光トレンド予測(3)

08年秋以降、前年同月比マイナスが続いていた訪日外国人観客数に昨年11月ようやく歯止めがかかった。反転攻勢に弾みをつけるためには、やはり中国が鍵。

中国、アジアに注目 大変革期の観光像

奇しくも同じ「華」を挙げた池田さんと玉置さん。「中国を中心として東アジアにおける定点定期型の現代クルーズが定着し大ブレークする」(池田さん)、「円高の中、中国がインバウンドの主役。奈良の平城遷都1300年祭も中国客抜きに考えられない」(玉置さん)。

大社さんも「日系旅行業の開業が解禁され、日本への渡航ビザが緩和すると、中国からのインバウンドは拡大する」とし、為替次第で韓国の復活もあり得るとする。

インバウンドの増加によって「変化ではなく進化が進む」と予測するのは井村さん。「大阪・西成の格安ホテルや京都の町屋、飲食別の旅館など」新たな宿が市民権を獲得するという。

一方、橋爪さんは中国やアジア各都市をライバルとみる。「都市型観光の大競争時代の中で、日本の各都市がいかに存在感を示すことができるか。日本の『観光立国』の真価がいよいよ問われる」。

そういえば10年は当初掲げられていた観光立国推進基本計画の数値目標達成年度だった。

そこに危機感を示したのは李さん。大量生産、大量消費という現代資本主義のモデルだったフォーディズム以来の変革期にもかかわらず「観光庁をはじめとした業界に認識がなく、新時代の観光プラットホームづくりに国家規模の遅滞が生じている」。

松坂さんは「立派なコートなんて2着も3着もいらない。ダイヤの指輪だって1個あればいいでしょ。住む家だって1つで十分。でも、恋と旅だけは何回でもやりたくなるじゃない」という話を聞き、この「ときめき感が、いつのまにか業界から失われているような気がする」。

さらに「ビジネスモデルなんて言葉がいけない。こんな概念を作って事業をシステム的にしようとするから、業界から魅惑的な部分が消えていく。今の不調は『不況』のせいというよりも単なる『不評』のせい。ビジネスモデル的な繁盛策なんて本来ない。そこにあるのは事業に『魅惑』という衣をかぶせるセンスと胆力」という。

では、10年の国内旅行のトレンドはどう予測されるのだろうか。

(トラベルニュースat 10年1月1日号)

2010年の観光トレンド予測(4)に続く

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