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国内旅行を盛り上げろ 全旅「地旅大賞」・JATA"もう一泊"大賞(2)

全旅の「地旅大賞」は、地域主導の着地型旅行をANTA会員が関わって企画造成し、地域活性化につなげようと昨年から始まった。地旅の定義を(1)テーマや目的が明確であること(2)地域資源の保全に取り組んでいること(3)地元の人たちや各種団体と協力していること(4)地元の物産を生かし地域振興に貢献できること―などと定義し、これを満たした商品を「地旅」と認定、顕彰している。

全旅 第2回「地旅大賞」はエアポートトラベル

大賞に選ばれたエアポートトラベルの商品は、かつて舟運で栄えた霞ヶ浦、利根川の船下りを再現し、2泊3日かけて流域をのんびり旅するというもの。茨城、千葉両県の観光協会や商工会などと連携して企画した。郷土料理の食事や「潮来節」など伝統芸能にもスポットを当て、和菓子づくりといった体験型観光の要素も盛り込んだ。

エアポートトラベルの石橋一男さんは「非常にありがたい。ご協力いただいた皆さんに感謝したいですし、地元の皆さんとともにいただいた賞だと思っています」と喜びを語った。

石橋さんが商品企画を思いついたのは、昨年11月に国土交通省などが試行した利根川の川下りモニターツアーがきっかけだった。船から見た風景の素晴らしさに驚いた。どちらかと言えば観光後進地だったこのエリアだが、霞ヶ浦や潮来、小江戸と呼ばれる佐原、銚子を県境を越えて、船で結ぶことによって魅力的なコースになると直感したという。

「茨城空港も開港しました。霞ヶ浦の帆引き船などはインバウンド向けの観光素材にもなると思います。地旅大賞の受賞で、この地域に大きなうねりが生まれ、さらに活性化していくよう地元の皆さんと一緒にやっていきたい」と意気込んでいた。

すでに、大賞受賞を知った他県のANTA会員から受賞商品の視察研修をしたいなどの打診を受けているそうだ。

JATA"もう一泊"大賞はKNTと星野リゾート

JATAの「もう一泊、もう一度(ひとたび)大賞」は、国内宿泊旅行の拡大に貢献している優れた旅行商品や観光商品を顕彰しようと、今回初めて選考した。国民1人当たりの年間観光宿泊数を4泊に増やそうという政府の目標に向け、JATAが昨年から取り組んでいる「もう一泊、もう一度」キャンペーンの一環で実施した。

グランプリを受賞したKNT(近畿日本ツーリスト)の「しばし京都人」は団塊世代に向けた着地型の国内旅行商品として2006年に発売された。寺院の特別拝観や美術講座、信仰と自然、信仰と食などを組み合わせた体験プランなど深みのある旅行商品として支持を集めている。

「雲海テラス」は、スノーリゾートとして知られる北海道のアルファリゾートトマムに初夏から秋の宿泊需要拡大に寄与している。早朝にゴンドラで登り、テラスから眼下の雲海を楽しんでもらうもので、昨年は約3万人が利用した。

東京・虎ノ門のJATA会議室で行った授賞式には、KNT首都圏メイト事業部の矢口裕子さんと、星野リゾート東京営業所の伊豆昭美さんが出席し、それぞれ副賞の10万円が贈られた。

矢口さんは「前任者の熱い思いを受け継ぎながら、これからも京都を舞台にした特別な旅行づくりにがんばりたい」。

伊豆さんは「雲海テラスは、素晴らしい風景を見続けていたゴンドラスタッフが考えたプランです。最近は、温暖化の影響か、昼夜の寒暖の差が小さくなり雲海の発生率が低くなっているのが気がかりです。多くの人に雲海テラスを体験してもらい、雲海を保つためになにができるかを考えてもらえたら嬉しいです」と話していた。

(トラベルニュースat 10年3月25日号)


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