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"中国シフト"加速 7月から個人ビザ緩和(2)

観光立国推進本部の外客誘致ワーキングチーム(座長・辻元清美国土交通副大臣)の会合が5月17日に開かれ、改めて、中国人観光客をメーンターゲットにした訪日客拡大策が話し合われた。

辻元副大臣「内需拡大に期待」

冒頭のあいさつで辻元座長は「内需拡大を観光振興でという声が広がっており、特にアジアからの旅行者拡大に期待が高まっています。近隣諸国と行き来しやすい環境づくりが大事で、この分野の議論を深めていきたい」と、ビザ緩和措置に言及した。

また、観光立国ナビゲーターとして訪日プロモーションを担うことになったアイドルグループの嵐についても「韓国や中国で人気ナンバー1」(辻元座長)とし、起用理由を紹介した。

8割が訪日増を予測 中国旅行会社

中国人観光客は昨年、景気低迷や円高で各国とも前年を大きく下回る中で唯一、前年を上回った。今年に入っても好調で、2月の旧正月休暇には、購買意欲が旺盛な中国人観光客が東京や大阪のデパートなどに多数来店し、流通業界では「春節特需」とまで言われるほどだった。

それを裏付けるデータもある。日本政府観光局(JNTO)上海事務所が中国の旅行会社を対象に2―3月に行ったアンケートでも、訪日旅行への関心は高かった。

上海や江蘇省、福建省など訪日旅行を取り扱う旅行会社46社に聞いたところ、全体の約8割に当たる37社が2010年に訪日旅行は「増加する」と回答。その要因としては「訪日旅行の評判がいい」「ツアー商品の選択肢が増えた」などが挙がった。

訪日旅行商品の売れ行き予想では「北海道プラス東京または関西」「北海道」が1、2位を占め北海道人気が顕著。北海道を舞台とした映画「非誠勿擾(邦題・狙った恋の落とし方)」が09年にヒットし、その勢いが今年も続きそうだ。3位は「東京」と「ゴールデンルート(東京、名古屋、大阪を周遊するルート)」だった。

期待する訪日旅行テーマは「買い物」「桜」「紅葉」「温泉」「スキー・雪遊び」の順。JNTO上海事務所では「医療観光」や「温泉」も人気があり、中国で健康志向が高まっていると分析する。

一方、日本に期待することでは「販売促進」に次いで「個人ビザの緩和」が挙がった。中国の旅行会社からみても、訪日旅行の個人需要への期待がアンケート結果に表れている。

7月1日にも緩和される見通しの個人観光ビザは、市場の大きさから日中両国にとって強いインパクトを与えるのは確実だ。特に、多種多様な個人観光客の一過性を避けリピート化につなげる意味でも、旅行先の一極集中を避け、旅行目的地、テーマの多極化を図りたい。中国語併記の案内標識の整備はもちろん、中国人観光客の接遇アップにも官民がともに取り組む必要があるだろう。

(トラベルニュースat 10年5月25日号)


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