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「DMO」と「民泊」―16年の観光番付(2) 業界問わず期待と不安

東の横綱は、2015年の前頭から一気に番付を駆け上がった「日本版DMO」。地方創生の推進組織として全国で100以上が立ち上がる。トラベルニュースat本紙連載の「NATO廃絶」で山田桂一郎さんが指摘している通り、観光業にとどまらない地域経営組織としての事業モデルが早晩誕生することを期待したい。

地域と宿泊業の今後占う 今年も天災受難

西の横綱は「民泊」。最大手のAirbnbによると、訪日外国人の利用者数が11月の段階で300万人を突破、日本市場が世界でもっとも急成長を遂げているという。ただ、その多くは限りなくグレー。特区として認められている大田区で11月現在26施設80室、大阪府は4施設6室が登録されているに過ぎない。当初6泊7日以上だった宿泊日数規制は11月末には2泊3日以上に緩和された。今年度中には民泊新法もできる。こうした急展開に、宿泊団体をはじめ不正民泊を危惧する声は小さくない。

民泊需要をけん引する訪日外国人観光客が東の大関。すでに10月で2千万人を突破、今年は2400万人台に到達するとみられている。ただ昨年までの爆買いは沈静化した。観光庁の調査で16年7―9月期の訪日外国人の消費額は19四半期ぶりに前年同期を下回った。最大のお得意様だった中国人旅行者1人当たりの消費額が約2割減ったことが影響した。それでも1人22万8千円も消費しているが...。17年はモノ消費からコト消費へのシフトがより進むのは間違いない。

西の大関は「天災受難」。今年も4月に熊本地震、10月に鳥取県中部地震があり、11月の福島沖地震では東日本大震災以降初めてとなる最大1.4メートルの津波が発生した。年の瀬にわかに鳥インフルエンザ流行の兆しも懸念材料。

一方で、熊本地震では観光による地域の復興支援のスキームができ、結果としても機能したケースと言えそう。政府は観光客減少につながる風評被害対策として180億円を拠出し旅行支援策を決定。旅行業界では「九州ふっこう割」の統一名称のもと九州への送客に取り組み、観光復興に大きく貢献した。九州の迅速な観光復興は、原発事故が大きく足を引っ張る福島県観光の復興速度の遅さを浮き彫りにもしている。

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