四字熟語で2018年の観光を占う(3) 民心不乱・海天愛人
「観光大国」へ民度を問う
【民心不乱】は井門さんの「民」と井村さん、永山さんの「乱」を当てたが、9人全員が見解を同じくする人手不足、民泊への懸念も指す。18年の観光業界は他を差し置いてこの2つに一心不乱に取り組まなければならないのかもしれない。
井門さんは「ホテル建設ラッシュ、町にあふれる民泊。客室バブルがやってくる」。井村さんも「ホテルが乱立し、人手不足によりサービスが乱雑になり、顧客と人の取り合いで乱闘が始まる」と危惧する。その中にあっては、井門さんが言うように「一人ひとりが主体的に生き、民度を問う」ていかなければならないし「サービス価値」が問われる年になるだろう。新たな価値の萌芽として井村さんは、文化体験の場として充実し始めたパブリックスペースを例に「宿が観光場所に」とみる。
【海天愛人】は、明治維新150周年の今年だから西郷隆盛の言葉「敬天愛人」をもじった。
池田さんの「海」は、150年前の黒船を外国籍クルーズ客船に置き換え「日本発着の定点定期クルーズをほぼ通年で実施して日本のクルーズ市場を大きく成長させた。国土交通省も市民を海へと誘うプロジェクトを行っており、海へ旅への回帰が起こりそう」。
山田さんの「人」は「人手不足を解消するためには、商品やサービスの付加価値を上げ販売額を高くし、給与体系を改めることが唯一の方法です。販売額を高くするためには相応の価値を創出しなければなりませんが、結果として旅行者にも観光従事者にも『人』に優しい産業にもなるのです」。まさに“周りに感謝し、人の気持ちをおもいやる”西郷どんの言葉の実践を説く。
(トラベルニュースat 18年1月1日号)
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