楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

旅行業再生を訴える JATA(1) G7並みの“水際緩和”を

日本旅行業協会(JATA)は7月7日、東京・霞が関の本部会議室で記者懇談会を開き、旅行業再生への取り組みや政府に対する要望を紹介し、理解と支援を求めた。髙橋広行会長(JTB会長)ほか副会長3氏が出席し、担当別に国内旅行、海外旅行、訪日旅行の現状と課題を示した。また7月15日からは「海外旅行再開プロジェクト」をスタート。初日は、全国主要都市8カ所で街頭キャラバンを実施した。

海外旅行復活のカギ

懇談会のなかで、髙橋会長は地域経済振興のため全国旅行支援とGo Toトラベルの早期の実施と長期間の継続を求めた。また、海外旅行と訪日旅行を促進するため水際対策のG7諸国並みの緩和を訴えた。

全国旅行支援について政府は感染急拡大を受け7月14日に当面の延期を決めたが、髙橋会長は「昨年、JATAが実施した感染対策モニターツアーでは1人の感染者も出ていません。なにより行動制限のなかった今年のゴールデンウイークに人の移動は増えましたが感染拡大は起きていません。旅行が感染拡大の大きな要因でないことは事実として明らかになっています。全国旅行支援が延期なら極めて残念です」と見解を示した。

JATA髙橋会長

「旅行が感染拡大の大きな要因でないことは明らか」
と強調した髙橋会長

日本入国時の水際対策については、岸田首相が5月にロンドンを訪れた際に表明した「G7諸国並みの緩和」の実現を求めた。

日本を除くG7の6カ国では入国時の陰性証明やビザ取得を不要としている。これに対し日本は渡航先出国前72時間以内の陰性証明とビザ取得を義務づけているほか、ワクチン接種については唯一3回の接種を条件としている。

髙橋会長は「首相の発言から2カ月経つが、G7諸国の水準に至っていません。特に72時間前検査はコストと心理の両面で海外旅行や出張、訪日旅行の足かせになっています」と話し、出発国PCR検査と、現在上限1日2万人の入国者制限の廃止、ビザ免除措置の再開を訴えた。

厳しい水際対策の中、海外旅行は依然として苦境が続いている。2021年の海外旅行者数がコロナ前の19年比で2・5%の52万人。今年4月に渡航制限が緩和されたことで、ゴールデンウイークに数社がハワイ旅行を販売したのを皮切りに旅行会社は旅行の募集を再開している状況だ。

酒井淳副会長(阪急交通社社長)は「海外旅行をどのように一般的に再開させていくが課題です。ハワイやヨーロッパを中心に夏休み商品に旅行者の反応はあるが、予約はコロナ前の一桁台です。ツアーのウェブサイトへのアクセスは増えていますが、予約につながっていません。水際対策のG7諸国並みへの緩和が1つの鍵だと思っています」と認識を示した。

(トラベルニュースat 2022年7月25日号暑中号)

(次の記事)旅行業再生を訴える JATA(2) 海外再開プロジェクトも

この記事をシェアする
購読申し込み
今読まれているニュース
地旅
今すぐにでも出たくなる旅 最新
「光る君へ」稀代の女流作家の足跡求め・滋賀大津

後世に深く濃く語り継がれる名作を描いた女流作家は、混沌とする世の中を、愛を持って駆け抜けた...

和歌山龍神に輝く夕夜景

大阪の中心部から車で約2時間、南紀白浜空港から1時間ほどの距離に位置する和歌山県田辺市龍神...

サステナブルアイランド四国への誘い・愛媛編

四国が進める観光のテーマは「持続可能」だ。社会全体のテーマとしてもはや中心に座りつつあるサ...

トラベルニュース社の出版物
トラベルニュースat

観光・旅行業界の今に迫る面白くてときどき役に立つ専門紙。月2回発行

大阪案内所要覧

旅行業務必携。大阪にある全国の出先案内所収録。19年版発売中!

旅行業者さく引

セールス必携。近畿エリア全登録旅行業者を掲載。22年版発売中!

夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ