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文化継承へ舞妓を育成、動画で魅力発信 奈良・元林院 花街復興プロジェクト

奈良公園の猿沢池近くで古風なまち並みが残る奈良町・元林院(がんりんいん)。明治時代に開けた花街で、大正から昭和初期の全盛期には十数軒の置屋があり、200人ほどの芸妓や舞妓で賑わった。高度経済成長期終了後から衰退し、現在残っているお茶屋は「つるや」だけとなった。

「つるや」を経営するのは、芸妓の菊乃さん。菊乃さんは、かつて栄えた元林院花街のもてなしの心と地域芸能を伝承しながら文化の継承と発展を目指すことを目的に、2012年から「奈良・元林院 花街復興プロジェクト」を開始した。

途絶えていた舞踊公演「大和をどり」を復活させ、全国の舞妓らが年に1回、奈良に集まり踊りを披露するイベント「ならまち花あかり」を実施してきた。

ところが世界中で巻き起こった新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一変。20年3月以降、お座敷のキャンセルが相次ぎ、4−5月は休業。これまで順調に進めてきた取り組みがストップした。6月から営業を再開したものの踊るときにはフェースシールドを着けなくてはならなくなり、お座敷遊びはすっかり自粛ムードに覆われた。

そうした中でも菊乃さんは菊愛さん(21)、きく浪さん(20)、菊まめさん(18)の3人の舞妓の育成に注力している。菊愛さんと菊まめさんは18年、きく浪さんは19年から毎日、日本舞踊や三味線といった芸の稽古や茶道、華道、書道を学んできた。

つるや

お稽古に余念がない舞妓

彼女らが現在、空いた時間を使って取り組んでいるのが動画サイトYouTubeへの投稿だ。若い世代へ伝統文化に興味を持ってもらうことを目的に20年1月から「ならまち花あかりチャンネル」を開設。舞妓の着付けや化粧の仕方、持ち物の紹介など身近な自分たちの姿を発信している。

菊乃さんは「奈良には芸妓や舞妓といったイメージはないかもしれませんが、奈良にも歴史ある文化が残っているんだということを若い世代にも伝えていきたい」と話している。

つるやでは3種のランチ(1800円から)や夜の会席(5千円から)を用意。芸舞妓を呼ぶ場合は1人1席2時間2万5千円となっている。

問い合わせは電話0742−22−5588。

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