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【観光業界リーダー年頭所感】一般社団法人日本旅館協会 関西支部連合会青年グループリーダー 針谷享佑 氏

新年あけましておめでとうございます。

観光業界を代表する名だたる社長会長の皆様が所感を投稿される場に私のような若輩者が参加することはたいへん恐縮ですが、何事も経験が信条ですので良い機会と捉え勉強をさせていただきます。

昨年5月より日本旅館協会関西支部連合会青年グループリーダーに就かせていただいてから早8カ月が過ぎました。

昨年は就任の際に発表した方針「旅館の適応戦略~不作為はマイナス やってトントン、超やってプラス~」に関してあまり語る機会もなかったため、ここで発表をさせていただきます。

“適応戦略”というのは社会生物学用語です。私が大学生のころ、生物系専攻であったため好んで使うのですが、時に経営学にも使われる用語であります。

旅館ホテルに限らず、経営の本質は変化対応であるという言説はよく説かれます。生物の進化のように、世の中の環境に自分自身を変化させることができた者が生き残るという生物の世界を企業経営に例えた言説です。

観光業は平和産業であり、非常に世の中の環境に影響を受けやすいことは周知の事実です。過去を見てもSARSやBSE、鳥インフルや豚ヘルペス、地震や噴火などの自然災害、戦争や紛争、計画停電、エネルギー高騰等々…4年前には関空の連絡橋にタンカーが衝突してインバウンドがストップしたこともありました。そして今回のコロナ禍です。

これらのように不可抗力で商売が脅かされる業界ではありますが、注目すべきはこれらの危機がこれだけ断続的に起こっていてもなお、堅実かつ好調な成績を残している同業者は常にある、という点だと思います。

これはひとえにどのような環境に陥っても創意と工夫で乗り切ることができる、変化対応がどれほど大切かということを物語っています。

併せて、不作為はマイナスと書いていますが、これはそういった変化対応をしない「面倒だ」「他の事で手一杯だ」という経営者の「何もしないこと(現状維持)を選択する」現象のことを指しています。

変化対応業である限り、何も行わないということは緩やかな下りのエスカレーターで立ち止まっていることと同義なはずです。

階段ではなくエスカレーターなのです。ですから普通に歩いてもプラスマイナスはトントンですし早歩きをして初めて上昇、プラスに転じます。

私は京セラの故稲盛和夫氏の元盛和塾生ですが、塾長のおっしゃる「誰にも負けない努力をする」とはまさにこのことだと信じています。

自分だけではなく、皆努力をしている。だからこそしなければマイナス、人より努力して初めてプラスなんだと。

そういった想いを込め、ともに高め合える集団を目指して青年グループの方針に掲げました。

この想いが全員で共有・実践できる場になるよう今年1年活動をしていく所存です。

本年もご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

年頭所感

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