誘客から需要の効果的浸透へ視野広げる 観光立国推進閣僚会議、「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を決定
政府は5月30日、観光立国推進閣僚会議の第20回会合を開催し、「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を決めた。従来の外国人観光客誘客から、需要を「より大きく効果的に」根付かせる方策へと視野を拡大。インバウンド回復から拡大、そして持続的な定着へと将来への路線図を描き、方策を展開していく。
アクションプランではビジネス分野▽教育・研究分野▽文化芸術・スポーツ・自然分野―の3本柱で合計約80の施策を策定。国際的な人的交流を念頭に取り組みを展開し、インバウンドの着実な拡大を図る。3月に閣議決定した観光立国推進基本計画とあわせて施策を実施し、持続可能な観光立国の復活を目指す。
ビジネス分野では、ビジネス目的での訪日外国人旅行消費額を25年には2019年から2割増となる8600億円、国際会議の開催件数は25年にアジア主要国で3割以上を占めるアジア最大の開催国に、また30年には世界5位以内、25年の展示会・見本市への外国人参加者数を19年比2割の16万7千人を目標に掲げた。
具体的には、国内投資の拡大や開発拠点の整備、スタートアップコミュニティの国際化、対日投資促進のための支援などでビジネス交流の促進を図るほか、国際金融センターとしての地位向上、外国人への粒子線治療などの医療の提供、ビジネスマッチング、国際会議や国際見本市の開催・誘致、オープンファクトリーの活用、ビザの要件緩和や新規創設などによる人的交流環境の整備など多岐にわたった取り組みを推し進める。
教育・研究分野では、海外からの研究者の受入数を19年比2割増の1万6千人に、科学技術・自然・医療・社会分野の国際会議への外国人参加者数を同様に2割増の18万6千人とすることを25年目標とした。
それに向け、グローバル・スタートアップ・キャンパスの創設や世界トップレベルの研究人材の交流促進、留学生の積極的な受入、国際学会の開催・誘致などについて施策を展開していく。
文化芸術・スポーツ・自然分野では、世界のアート市場での売上額シェアを25年に7位に引き上げることや、スポーツ目的の訪日外国人旅行者数を19年比2割増の25年270万人を目標に据えた。
漫画やアニメ、ゲームなどコンテンツを日本の武器を海外向けのビジネスに育成・発展へ向け、文化観光拠点・地域の整備・日本遺産の磨き上げも含め官民一体で推進。スポーツについてはコンテンツビジネスの国際展開やスポーツツーリズムの推進、美術館・博物館の夜間開館といった文化資源の活用など夜間のコンテンツの充実、国立公園や農山漁村、ガストロノミーツーリズムをテーマにした少数限定の宿泊体験・体験型コンテンツの提供にも力を入れていく。
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