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ワーケーション最前線 HafH(ハフ)が提案するリゾート滞在の新たな価値②

20/12/28

寒さ避け12月は沖縄のホテルに滞在するネイバーAkinaさん

ハフのネイバーAkinaさんは8年務めた英語教育・出版関連の仕事を辞め、ピースボートに通訳として乗り込んでの世界一周旅行、バリ島でのコミュニティイベントに参加した後、ノマドワーカーになった。前職を活かした参考書のライターや講演などをこなしつつ、絵本の制作にも取り組んでいる。

ハフのグローバルアンバサダーAkinaさん。お気に入りの場所を求めて世界を旅する

今では海外ノマドと日本を繋ぐハフのグローバルアンバサダーになっているAkinaさんはハフを最大限利用しており、例えば今年は夏から2カ月間九州、中四国、近畿地方を中心に滞在、11月はコインを貯めるために東京の自宅に留まって、12月から避寒のために沖縄に滞在といった具合だ。

「朝ヨガの後、日中はガッツリ働き、夜はハフで出会う人たちとの交流に充てている」「エッジの効いた面白い人と会えるのが楽しい。絵本を描くようになったきっかけもワーケーション先での出会いがきっかけ」「将来的には日本と海外でお気に入りの場所を見つけて多拠点生活を目指している」とのこと。

ノマドワーカーにとってワーケーションは理想的な働き方だろう。出社頻度を制限されて、在宅勤務を余儀なくされた「俄かテレワーカー」にとってもリゾート地で働くことのできるワーケーションは嬉しい選択肢となっている。東京のサラリーマンが東京のハフを利用し、フリーランスは東京を離れ地方に移っているらしい。「在宅勤務をしていると家族に余計なストレスを与える」「どこでも仕事できるのに時間を掛けてオフィスに行くのはバカバカしい」というわけだ。

テレワーク定着で利用登録者、提携ホテルが急増

スタート2年弱のハフだが、コロナの中で順調にネイバー(登録者)と提携先を増やしている。緊急事態宣言が明けた7月以降前年同月比2倍前後の新規ネイバー登録者数を記録し、10月には3倍増となった。これらネイバーの8割以上は20~30歳代のいわゆるZ世代であり、学びや刺激、出会いに大きな価値を見出しているという。

2019年に訪日外国人数は3100万人を超え、オリンピックを控える今年はさらに盛り上がると観光業界の誰もが信じていた。その期待は完全に裏切られ、海外旅行が出来ない日本国民や日本在留の人々も3月以降巣籠りを続け、閑散としたゴールデンウィークを経て、7月にGo  Toキャンペーンが始まるまでは壊滅的な打撃を受けたのである。

その中でワーケーション需要の高まりは干天の慈雨、希望の星と言えるだろう。実際に個室ホテルや旅館との提携はコロナを経て約6割増加し、今では430拠点の内訳は個室のみ施設165、ドミトリーのみ施設112、個室およびドミトリー施設155となっている。

ハフの提携先は清潔さやセキュリティはもちろん、WIFIやコワーキング施設などテレワーク関連施設の充実、ビーチ、温泉、森林へのアクセス等100項目を超えるチェックポイントに照らし合わせて選ばれている。

「食事の内容や温泉の質など従来の『観光』で成功体験があるホテルや旅館ほど通信施設の充実等変化の必要性に対して硬直的で、方向性が合わない」とカブクスタイル代表大瀬良氏は嘆く一方、「ホテルや旅館、ゲストハウス側は、ハフと提携をすることで、空き部屋の在庫を埋めながら、新しいマーケットの受け入れに挑戦できる」とそのメリットを説く。

ライフスタイルホテル使いこなす利用者

那覇を含む11施設を運営するグローバルエージェンツは8つのホテルを対象にハフと提携している。そのうちのひとつ「ESTINATE HOTEL沖縄那覇」の濱田佳菜マネジャーは「ハフからの送客で大変助かっているが、何よりもハフ経由のゲストは交流志向でフレンドリーな雰囲気なのが良い。ラウンジやモバイルサービスなどの使い方もとても上手い」と好意的だ。

ライフスタイルホテル、Estinateホテル沖縄那覇の濱田マネジャー

航空業界では、JALはかなり以前から和歌山の白浜を「ワーケーションの聖地」としてプロモートしてきたが、ハフはANAと提携して五島福江など全18路線でネイバー限定プランをリリースした。(2020年11月に終了) ハフはJR西日本とも提携し、福岡、広島、和歌山(白浜)をつなぐパッケージも提案。JR西日本管内をおトクに往来しつつ各地のハフ拠点を体験してもらおうというもので、先月までの限定で展開し人気を博したという。ワーケーションと航空、鉄道とのコラボ例として今後に期待が高まる。

ワーケーションには自治体も注目している。観光のみならず、ワーケーションをきっかけに移住・定住を促進出来れば、空き家も活用出来るし、高齢化するコミュニティの活性化から企業誘致まで期待出来る。地方創生の新たなツールになるというわけだ。こうした自治体は観光業界と共にワーケーション自治体協議会や日本ワーケーション協会などを相次いで立ち上げ、ワーケーションに関する知識・理解の深度化、企業に対する社内規則の整備働きかけや誘致活動、地方自治体間の連携、政策提言などに取り組んでいる。(つづく)

<ワーケーション自治体協議会>https://www.facebook.com/WorkationAllianceJapan/

<日本ワーケーション協会>

https://workcation.or.jp/

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