「興福寺の粕汁」を朝食に ホテル日航奈良、今西酒造とコラボ/奈良
奈良市のホテル日航奈良では、朝食バイキングを「奈良の朝ごはん」と銘打ち、奈良の伝統食や名物料理、奈良県産食材を用いたメニューを考案し好評を得ている。これから寒い季節に向かい、特に人気を集めるのが「興福寺の粕汁」だ。
世界遺産・興福寺で毎年2月の節分の日に追儺会(ついなえ)という鬼追いの法要が行われている。儀式を前に、僧侶や手伝いをする人たちに振る舞われるのが粕汁。ホテル日航奈良では興福寺の全面協力を得て、伝統行事で供される粕汁を10年前から朝食に提供している。
今年からはさらに、粕汁に用いる酒粕も地元酒蔵とコラボレーション。10月17日には、今西酒造(奈良県桜井市)の十四代蔵主・今西将之さんと興福寺の境内管理室長執事の辻明俊さんが参加して試食会を行った。
「うちの酒粕がこんなにやさしい味になるとは」と今西さんが思わず自賛するほどの粕汁に仕上がった。同ホテルの松尾昌敏調理長によると、田舎味噌と白味噌を合わせて同量の酒粕を出汁で溶いたという。大根や白菜、サツマイモなどの具材や切り方は興福寺伝統のもので、野菜の甘味が出てよりまろやかになった一品だ。
酒粕は、今西酒蔵を代表する銘柄「みむろ杉」のもの。奈良県だけでしか栽培されていない露葉風(つゆはかぜ)という酒米を用いた特別純米酒で、奈良づくしの酒粕だと言える。
「清酒発祥の地は奈良ですし、酒粕が日本で初めて出たのも奈良。しかも今西酒蔵は、酒造りの神様を祀る大神神社の門前にありますから」と、辻さんもお墨付きを与えていた。
みむろ杉の酒粕で作った粕汁は12月下旬ごろまで。その後も県内の酒蔵とコラボした粕汁を提供する。「夏バテ防止にもなるので粕汁は通年でお出ししています。ご宿泊に来られたお客様に奈良の朝の楽しみとして味わっていただき、興福寺や今西酒造さんに足を運ぶきっかけにしてもらいたいですね」と、松尾調理長。
朝食バイキング「奈良の朝ごはん」は宿泊以外、朝食のみでも利用可能。料金は1人3千円。
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