ポストコロナ:トリップアドバイザーが6カ国の旅行者意識調査
世界最大の旅行プラットフォーム「トリップアドバイザー」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して旅行者の意識がどのように変化をしているか、アンケート調査を実施し発表した。 今年4月に日本を含む世界6カ国で調査したもので、いずれの国でも新型コロナウイルスに9割以上の旅行者が不安を抱いているものの、日本人回答者の6割は「1年以内には旅行に出たい」と思っていることがわかった。
調査は日本、アメリカ、イギリス、イタリア、オーストラリア、シンガポールで過去12カ月に旅行を経験した各国約400人から回答を得た。
日本人の34%は「6カ月以内」に国内旅行
このうち日本人旅行者に「次回旅行へ行くタイミング」を尋ねたところ、国内旅行は「6カ月以内」が34%、「7-12カ月以内」が27%、「1年以上先」は39%。一方、海外旅行は「6カ月以内」5%、「7-12カ月以内」8%にとどまり、1年以上見合わせると回答した人が9割近くにのぼった。
また、次回旅行の行き先については、自宅やその周辺で過ごす「ステイケーション」が17%、「自宅から90分以内の距離」が14%、「自宅から90分以上の移動」が34%で全体の6割以上を占めた。遠方の「国際線を利用」は23%、近距離・長距離の海外旅行は12%だった。
次回旅行の目的(テーマ)については複数回答で、「温泉旅行」59%と「のんびり過ごす旅行」57%が双璧。以下、「週末旅行」「都市部への旅行」「文化や歴史に触れる旅」「自然を楽しむ旅・エコツーリズム」などが続いた。旅行タイプでは「車での旅行」「アウトドアや自然散策」が以前より人気を集めそうなこともわかった。
旅行先は「感染状況」「密を避けられる環境」を重視
さらに、旅行先を決める上で今後重要になる点として以下のような意識を持っていることが分かった。「その地域における感染状況」54%や「密を避けられる環境」52%に加えて、「地域単位で公衆衛生に取り組んでいること」42%を重視している。
特に、宿泊施設を決める上では、「手指消毒剤の配布や整備」65%、「施設内の定期的な消毒」60%、「従業員や宿泊客の健康チェックをしていること」51%といった意見が多かった。飲食施設に対しても「清潔さ」78%が最も高く、ついで「衛生上の予防策」59%、「テーブル間の距離」53%)となっており、「入店人数制限」32%に対するニーズも見られた。
日本の旅行者と他国の旅行者の意識を比較すると、旅行先を決める上で最も重要になることに関して、日本やアメリカの旅行者は「感染者数の低下」を挙げた一方で、イタリア・シンガポール・オーストラリアでは「地域単位で公衆衛生に取り組む姿勢」だった。日本以外の5カ国の旅行者のうち3-4割程度が「最新設備のある病院へ安全かつ容易にアクセスできること」を重要と考えており、日本の21%よりも高い。宿泊施設に対しては、どの国も「消毒」へのニーズが高いが、日本では特に「個室での食事」43%を求める声が他国よりも高い水準だった。
地域単位で「安心して旅行ができる環境」を
トリップアドバイザーの櫻井泰斗シニアリサーチマネージャーは調査結果について「今すぐに旅行をすることは難しい状況ではあるものの、半年以内に旅行に行きたい人も少なくないことがわかりました。移動自粛の緩和に伴い、旅行需要は国内の近場から回復することが期待できます」とする。
ただ「今回の調査によって、新型コロナウイルス感染症が旅行者の意思決定に与える影響が明らかになってきました」とし、安心して旅行できる環境を提供するために「施設単位はもちろん、地域単位で考えていく必要があります」としている。
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