パースで WTTCグローバル・サミット 「古来の土地、新たな視点」テーマに先住民観光を議論
西オーストラリア州の州都パースで10月8-10日、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)による第24回グローバル・サミットが開催され、25カ国以上から集まった代表団やジャーナリスト、業界リーダーや政府関係者に、観光産業における持続可能な未来について考える場を提供した。
サミットのテーマは「古来の土地、新たな視点(Ancient Land; New Perspectives)」。地域管理の重要性やAIの影響、再生型観光(リジェネラティブ・ツーリズム)などが議論された。

開会式では先住民族アボリジナルによるパフォーマンスが披露された
ジュリア・シンプソンWTTC会長兼CEOは基調講演で、先住民族であるアボリジナル文化と観光イノベーションの結びつきを強調し、「西オーストラリア州が6万年の歴史を持つアボリジナル文化を通じて旅行者に豊かな体験を提供し、観光業における持続可能なモデルを示している」と述べ、旅行業が地域社会に経済的自由と機会をもたらしていると強調した。
また、西オーストラリア州のリタ・サフィオティ副首相兼観光大臣も、「観光業がすべての国にとって経済成長の要であり、西オーストラリア州が観光業の未来において重要な役割を果たす可能性を有している」と述べた。
サミットでは旅行・観光業の環境フットプリント(環境に与える負荷)削減に関する最新データが発表された。それによると2023年は、旅行・観光業の世界の温室効果ガス排出量の6・7%を占め、これはピークだった2019年の7・8%を下回ったことが紹介された。
また、ビジネス旅行がパンデミック後の反発により過去最高の1・5兆米ドルに達する見込みが公表された。
一方、先住民観光の分野では、WTTCが2034年までに670億米ドルの経済効果を予測し、この分野が地域社会に経済的価値を提供し、先住民文化や伝統の保護に寄与する重要な役割を果たすとされた。
西オーストラリア州では、アボリジナル文化を体験する観光が増加しており、訪問者の約87%が興味を示し、3分の1以上が実際に参加したというデータが示された。
アボリジナル観光の発展を支援する西オーストラリア先住民観光事業者協議会(WAITOC)のロバート・テイラーCEOは、本物のアボリジナルの文化体験の重要性を強調し、「西オーストラリア州は、アボリジナルの文化体験ができる国内随一の観光地となることを目指しています。伝統的所有者であるアボリジナルピープルの土地に宿泊施設を含むキャンプ場を開発するという、オーストラリア初のプログラムは、西オーストラリア州におけるアボリジナル・ツーリズムの継続的な成長を示す一例に過ぎません。5月には、ブルームの北に位置するダンピア半島のロンバディナに7番目のキャンプ場がオープンしました。これらのキャンプ場は、アボリジナル・コミュニティによって所有・運営されており、資金と雇用の機会をもたらしています」と紹介した。
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