KNT―CT、21年3月期はコロナ禍響き284億円の赤字決算(1) 400億円増資で債務超過解消へ
KNT―CTホールディングス(米田昭正社長)は5月12日、2021年3月期連結決算を発表した。売上高は前年度比77・2%減の878億8900万円、営業損失は前年度から約254億円マイナスの270億8200万円、経常損失は前年度から約153億円マイナスの167億2700万円、親会社株主の近鉄グループホールディングス(GHD)に帰属する当期純損失が前年度から約210億円マイナスの284億5600万円だった。新型コロナウイルス感染拡大により「開業65年の歴史で最大の赤字幅」(米田社長)というように大打撃。債務超過に転落したが、近鉄GHDと主要取引銀行からの第三者割当増資で資金を確保。そのもとで2月に発表した新中期経営計画による事業構造改革を断行し、将来の持続的成長の具現化へ注力していく。
同日開いた会見で、財務担当の三宅貞行専務は21年3月期を振り返り、「国内旅行はGo Toトラベルキャンペーンもあり一時は盛り返したが、コロナ第3波でその効果も限定的。海外旅行と訪日旅行は原則中止、店舗の休止などが大きく響いた。調査や運営業務など旅行業以外の分野に注力、事業構造改革で人件費はじめ費用削減に取り組んだが、旅行需要の消失は甚大で大幅な売上減は避けられなかった」と総括。資産は278億円減、96億5400万円の債務超過と開業以来最大級の窮地に陥った。
債務超過解消、この先の資金繰りのため、同日開いた取締役会で第三者割当増資を決定した。近鉄GHDから150億円、三菱UFJ銀行系の合同会社あかりから150億円、三井住友銀行系の合同会社まつかぜから100億円の計400億円を調達。6月16日の定時株主総会で諮って以降、増資の払い込みが成立する見込み。保有する現金約240億円と主要銀行とのコミットメントライン契約残高300億円もあり、三宅専務は「当面の資金繰りに問題はないと考えている」と強調した。
米田社長によると、第三者割当増資はコロナ第1波から債務超過が見え、年度初めから検討を開始。近鉄GHDや主要銀行と検討を重ね、今年に入って決定したという。財務基盤の安定に加え事業構造改革の資金確保、株式価値の維持向上を目的としており、現況を考えると最善の策と判断。社債型優先株式であり、普通株式の希薄化はないとの判断からも資金調達を決めた。
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