人(意識)の改革が根幹 KNT―CTホールディングス、再発防止へ具体策を発表
KNT―CTホールディングスは9月20日、子会社の近畿日本ツーリストが新型コロナウイルスワクチン接種に関連する業務で自治体に過大請求を起こした問題で、再発防止策を発表した。KNT―CTホールディングスの米田昭正社長、小山佳延専務、近畿日本ツーリストの瓜生修一社長が都内で記者会見した。
再発防止策は「人(意識)の改革」を根幹と位置づけ、業務の改革と組織の改革を包括的に実行するとした。
人(意識)の改革については、8月下旬から9月上旬にかけて約4600人のグループ全経営陣・全社員を対象に実施した意識調査を踏まえ実施。調査は93%の回答率があり、米田社長によると人員不足に伴う繁忙感、職場部署ごとの壁が高い、社員と経営陣の距離感―など2万1千件に及ぶコメントがあったという。
具体的には、経営陣と社員が直接対話を行うタウンホールミーティングを10月から今年度末までに各地を2巡する。経営陣と社員がともにビジネスコンプライアンス検定を行うほか、人間力を高める教育に主眼を置いたKNT―CTアカデミーを2024年1月に設立する。
また、米田社長はこれまで経営信条や理念などが乱立していたとし「グループ行動規範」を全社一丸で策定するとした。その中で、個人的な案だがと断った上で▽社会の公器である▽人として正しいことをする▽道を守りつつ日々新たに挑戦する気持ちを忘れず」を社員に浸透させたいと話した。
さらに、今回の不祥事の根底には“儲け主義”があったとし、予算達成を重視した人事評価基準の見直しに着手し・グループ統一の人事制度の構築・定期的な人事ローテーションの実施・人事システム、データベースを統一し管理機能を集約するとした。
同様に、官公庁や地方自治体との契約については詳細な取扱ガイドラインを定め、契約書評価ツール、人工管理や調達物品管理などIT化を進める。瓜生社長は「ITによって従業員が守れたはず。儲けよりも誠実な仕事を徹底して定着させたい」と述べた。
加えて既存のコンプライアンス委員会に外部識者を招くほか、法令倫理管理センターを設けて内部通報がしやすい風通しのよさを確立する。
なお、関係自治体との協議が進み8月の時点で50自治体・最大9億円だった過大請求額は、会見時で37自治体・最大7億円になったと明らかにした。

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