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【鼎談】観光の「量」だけではなく「質」も、レガシー形成へ 大山阿夫利神社で語られた転換点

跡見女子大・篠原准教授×大山阿夫利神社・目黒宮司×観光庁・村田長官

訪日外国人旅行者数が過去最高水準に達し、日本の観光は「成功」の局面にある。訪日外国人の約6~7割が日本の文化体験を目的に来日する中、観光客の集中による生活環境への影響や、地域文化をいかに次世代へ継承していくかが大きな政策課題となっている。こうした状況を背景に、神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社を舞台に、観光庁長官の村田茂樹氏、同神社宮司の目黒仁氏、内閣官房「地域活性化伝道師」で跡見学園女子大学准教授の篠原靖氏による鼎談が行われた。

約2,200年にわたり信仰と生活を支えてきた「大山詣り」は、日本の旅の原点であると同時に、自然崇拝や宿坊文化などが重層的に受け継がれてきた文化的レガシーである。文化資源を観光に生かし、地域に継承される価値として磨き上げていく。国が進める「新たなレガシー形成」の考え方の下、大山阿夫利神社は文化観光政策を考える上で象徴的な存在といえる。鼎談では、インバウンドの拡大、文化財の観光活用、地域主体のまちづくりを通じ、観光を「量」だけではなく「質」も、そして「レガシー形成」へと転換していく視点が、多角的に議論された。(1月16日、大山阿夫利神社、編集:トラベルニュース 事業部長/記者 長木利通)

跡見女子大・篠原准教授×大山阿夫利神社・目黒宮司×観光庁・村田長官

跡見女子大・篠原准教授×大山阿夫利神社・目黒宮司×観光庁・村田長官

第1章 インバウンド好調の現在地と、見え始めた未来

篠原 2025年度は、インバウンド需要が非常に好調な一年でした。来年度に向けた観光庁の事業方針について、村田長官からお話を伺いたい。

村田 2025年の訪日外国人旅行者数は、すでに前年を上回り、初めて4,000万人を超える見通し(注1)となっています。11月末までの数字を見ても、その流れは確実なものになっています。また、人数だけでなく消費額についても重視していますが、こちらも9月時点で6.9兆円(注2)に達しており、訪日者数、消費額ともに非常に力強い成長軌道にあると受け止めています。こうした数字を見ると、コロナ禍を経て、日本の観光は全体として非常に好調な局面に入ったと言えると思います。

一方で、課題もはっきりしてきました。観光客が一部の地域や時間帯に集中することで、地域住民の生活の質が低下しているという問題です。いわゆるオーバーツーリズムを未然に防止する必要があり、これは決して看過できない状況だと認識しています。

(注1)2025年の訪日客数は約4,268万人(2026年1月21日公表データ)

(注2)消費額は暦年で約9兆5千億円(2026年1月21日公表データ)

篠原 観光が経済的には成功している一方で、生活環境との摩擦が生じているということですね。

村田 その通りです。今後の観光政策では、観光客の受け入れと住民生活の質の確保、この両立をどう実現するかが重要になります。観光は地域にとってプラスの効果をもたらすものでなければなりません。地域経済だけでなく、住民の暮らしや誇りにも寄与する形でなければ、持続可能とは言えないと考えています。

国内旅行という「基盤」

篠原 インバウンドに注目が集まりがちですが、国内旅行の位置付けについてはいかがでしょうか。

村田 インバウンドは確かに成長分野ですが、日本の観光のベースはやはり国内旅行です。国内旅行の消費額も9月時点ですでに20兆円を超えており、こちらも順調に推移しています。日本人による国内旅行がしっかりと支えられていることが、観光全体の安定につながっています。コロナ禍を振り返っても、国内旅行の基盤が弱ければ、観光全体は成り立ちません。そのため、インバウンドの拡大と同時に、国内旅行の充実を引き続き重視していきたいと考えています。

篠原 観光を「外から稼ぐ」だけでなく、「内側を強くする」ことが必要だということですね。

村田 まさにその通りです。国内旅行という安定した基盤の上に、インバウンドを積み上げていく。この考え方が、これからの観光政策の基本になります。

数から質へ、観光の次の段階

篠原 話を伺っていると、観光の評価軸そのものが変わりつつあるように感じます。

村田 これまでの観光政策は、どうしても「どれだけ来てもらうか」という数の議論が中心になりがちでした。しかし今後は、どのように受け入れ、どのような体験を提供するのかという「質」の部分もより重要になります。観光客にとっての満足度だけでなく、地域住民にとってもプラスになる形をどう作るか。その意味で、受け入れ体制の高度化や、地域ごとの特性を踏まえた観光のあり方を考えていく必要があります。

村田長官

村田長官

第2章 観光立国推進基本計画の改訂と、三つの政策の柱

篠原 来年度に向けては、観光立国推進基本計画の改訂も予定されています。これまでの話とも関わりますが、その全体像について改めてお聞かせください。

村田 今年は、観光立国推進基本計画の改訂の時期にあたっています。これまでの状況や課題を踏まえながら、今後の観光政策の方向性を整理する重要なタイミングです。今回の改訂にあたっては、三つの施策の柱を設定することを想定しています。一つ目はインバウンドの受け入れと住民生活の質の確保の両立、二つ目は国内交流・アウトバウンドの拡大、三つ目は観光地・観光産業の強靱化です。

「受け入れ」と「生活」をどう両立させるか

篠原 最初の柱として挙げられたのが、インバウンドの受け入れと住民生活の質の確保の両立です。

村田 観光は地域経済にとって大きなプラスをもたらしますが、それが住民の生活の質を損なうものであってはなりません。観光客の集中によって、地域の暮らしに支障が出ているケースも現実として存在しています。そのため、観光政策としては、観光客の受け入れ体制を整備すると同時に、地域住民の生活環境を守るという視点を重視していく必要があります。観光が地域にとって「負担」ではなく、「価値」になるようにしていくことが重要だと考えています。

国内交流とアウトバウンドの位置づけ

篠原 二つ目の柱として、国内交流とアウトバウンドの拡大が挙げられました。

村田 観光というとインバウンドが注目されがちですが、日本人による国内交流も非常に重要です。地域と地域を行き来することによって、人の流れが生まれ、地域経済や文化の活性化につながります。

また、アウトバウンドについても、日本人が海外に出ていくことで得た経験や視点が、国内観光の質を高めることにつながると考えています。インバウンド、国内交流、アウトバウンドをバランスよく進めていくことが、観光全体の底力を高めることになると思います。

観光地・観光産業の「強靱化」

篠原 三つ目の柱である観光地・観光産業の強靱化についてはいかがでしょうか。

村田 観光地や観光産業が、外部環境の変化に左右されにくい強さを持つことが重要です。コロナ禍を経験して、観光産業の脆弱さが改めて浮き彫りになりました。地域に眠っている観光資源を磨き上げ、それを魅力的な形で発信できる体制を整えること。そして、地域の関係者が連携しながら、戦略的に観光地づくりを進めていくことが、強靱化につながると考えています。

財源としての国際観光旅客税

篠原 こうした施策を進めるうえで、財源の話も重要になりますね。

村田 観光施策の強化・充実のための財源として、国際観光旅客税の拡充が、昨年末の税制改正大綱に盛り込まれています。令和8年度予算案では、観光関係予算が大幅に増額される見込みです。これは観光庁だけでなく、文化財、国立公園など、関係省庁と連携しながら活用していくためです。観光を軸に、文化や自然といった日本の強みを生かした政策を進めていきたいと考えています。

地域が主体となる観光政策へ

篠原 国の方針としては、地域主体の取り組みがますます重要になってきますね。

村田 国としては、各地域が自らの魅力をどう高め、どう発信していくかを後押しする立場です。地域の方々が戦略を描き、主体的に取り組めるよう、広域DMO支援事業なども含め、さまざまな支援策を用意しています。観光が地域住民や地域経済にとってプラスの効果を持つものであることを、国民の皆さんにも理解していただけるよう、丁寧に進めていきたいと考えています。

篠原准教授

篠原准教授

第3章 大山阿夫利神社に息づく信仰と、「旅」の原点

篠原 ここからは文化財の観光活用という観点で、大山阿夫利神社そのものの価値について掘り下げていきます。目黒宮司、大山という場所が持つ歴史的・文化的な意味について、改めてお話しいただけますか。

目黒 大山阿夫利神社は、社伝などをひもとくと、第十代崇神天皇の時代に創建されたとされており、今から西暦で言えば2,200年から2,300年ほど前に遡る歴史を持っています。もちろん、その当時のことを私たちが直接知ることはできませんが、昭和30年代から40年代にかけて行われた山頂での遺跡調査によって、有史以前からこの山で祭祀が行われていた痕跡が確認されています。山頂からは、炉の跡やかわらけ、米粒、動物の骨などが出土しました。これらは、人々がこの場所で祈りを捧げ、自然と向き合ってきた証しであり、大山が紀元前から信仰の対象であったことを裏づけています。

自然とともに生きるための信仰

目黒 大山は、いわば自然崇拝の原点のような場所です。人々は山の姿や雲の動きを見ながら、日々の暮らしを判断してきました。明日、山に雲がかかっていれば雨が降るだろう、農作業を急ごう。雲の流れが速ければ、漁に出ている人たちは早めに戻ろう。大山は、そうした生活の指標そのものだったのです。

雨は山から水となって流れ、飲料水になり、田畑を潤し、やがて海に注いで良い漁場をつくる。この循環の恵みに対する感謝が、やがて信仰という形になっていきました。「いつかあの山に登りたい」「大きな大山に行って感謝を捧げたい」。そうした思いが、人々を山へと向かわせたのです。

江戸の庶民を動かした「大山詣り」

篠原 大山詣りは、江戸時代には非常に多くの人が訪れたと聞いています。

目黒 江戸時代になると、人々の生活が徐々に豊かになり、その豊かさへの感謝を形にしたいという気持ちが強まっていきました。頼朝が武運長久を祈って太刀を奉納したという伝承もあり、そこから太刀の奉納が始まったとされています。その後、人々は信仰を通じて太刀や食糧、やがては金銭を奉納するようになります。奉納品は次第に大きく、立派なものになっていきましたが、それは欲というよりも、感謝の気持ちの表れだったのだと思います。

江戸時代の最盛期には、江戸の人口が100万人とも言われる中で、夏山の開山期間だけで20万人以上が大山を訪れたとされています。限られた期間にこれほど多くの人が訪れるというのは、当時としては驚くべき規模です。

「旅」の原型としての大山

目黒 当時、人々は一人で来るのではなく、仲間同士でグループをつくって大山に向かいました。「二、三日行ってくるから一緒に行こう」と声を掛け合い、生活圏の人たちが連れ立って参拝する。これは、現代の団体旅行やツアーの原点とも言える姿だったのではないでしょうか。

また、山に入れる期間が限られていたことや、女性禁制といった制約もありましたが、それでも多くの人が大山を目指しました。そのこと自体が、大山がどれほど強い信仰の対象であり、人々の心の拠り所であったかを物語っています。

信仰の積み重ねが生んだ文化

篠原 話を伺っていると、大山は観光地である以前に、日本人の精神文化を支えてきた存在だと感じます。

目黒 大山は、2,200年という長い時間をかけて、人々の祈りや感謝が積み重なってきた場所です。奉納された太刀や石碑に刻まれた名前は、「自分たちがここに来た」という証しであり、その積み重ねが文化を形づくってきました。こうした信仰と生活の歴史が、大山独自の文化を育んできたのです。

観光という「入口」

篠原 こうした文化を後世に伝えていくうえで、観光が果たす役割について、村田長官はいかがお考えでしょうか。

村田 大山詣りは、日本遺産に認定されていることからも分かるように、我が国が後世に引き継ぐべき無形の伝統や行動様式を含んでいます。実際に訪れ、体験し、知ってもらうことが、その価値を理解してもらう一番の近道です。観光は、文化を次の世代につなぐための「入口」になり得ると考えています。多くの人に来てもらい、その価値を認めてもらうことが、継承の大きな支えになるはずです。

目黒宮司

目黒宮司

第4章 レガシーをどう形成するか、日本遺産と地域が直面する現実

篠原 ここまで、大山阿夫利神社の歴史や信仰の積み重ねについてお話を伺ってきました。一方で、こうした文化を次の世代へ継承していくことは、決して簡単ではありません。その現実について、目黒宮司からお話しいただけますか。

目黒 継承という言葉は簡単に使えますが、実際には非常に難しい問題です。明治から昭和にかけて、この地域には最大で100軒を超える宿坊がありました。昭和の初めでも70軒ほどありましたが、現在残っているのは40数軒です。宿坊は単なる宿泊施設ではなく、信仰と生活をつなぐ存在でした。しかし、時代の変化とともに、後継者不足や経営の難しさといった問題が顕在化しています。この状況をどう受け止め、どう次につなげていくのかは、私たちにとって大きな課題です。

地域だけでは解決できない課題

篠原 地域の努力だけでは限界もあります。

目黒 原点に立ち返って考え直さなければならないと感じています。神楽などの伝統芸能をどう子どもたちに伝えていくのか、船頭という生業をどう魅力あるものにしていくのか。一つひとつが簡単に答えの出る問題ではありません。だからこそ、地域内だけでなく、行政や交通事業者、観光協会など、さまざまな主体との連携が不可欠だと考えています。地域の中だけで閉じてしまうと、どうしても発想が限られてしまいます。

日本遺産という追い風

篠原 一方で、日本遺産への認定は大きな転機だったのではないでしょうか。

村田 大山詣りが日本遺産に認定されたことは、この地域の価値が国として評価されたという意味を持っています。日本遺産は、単に建物や史跡を守るだけでなく、そこに息づく物語や行動様式を含めて伝えていく仕組みです。大山には、宿坊や奉納文化、江戸時代の地域文化など、素材が数多く残っています。それらをどう組み合わせ、どう見せていくかが、今後の大きなポイントになります。

レガシー形成事業という「きっかけ」

篠原 現在、大山阿夫利神社を含む伊勢原エリアでは観光庁の「地域・日本の新たなレガシー形成事業」も活用されています。

村田 事業は、日本のレガシーとなる新たな観光資源を形成することを目的としています。重要なのは、単にハードを整備することではなく、地域の関係者が集まり、「自分たちの地域をどうしていきたいのか」を真剣に議論する場をつくることです。一度に全員の意見が一致することは難しいかもしれませんが、丁寧に議論を重ねることで、方向性は少しずつ固まっていきます。この事業が、そうした合意形成のきっかけになればと考えています。

廃業宿坊の再活用という挑戦

目黒 具体的な取り組みの一つとして、廃業した宿坊を地域の拠点として再活用する構想があります。山に登り、下りてきた人たちが自然と集まり、大山の歴史や信仰、ルートなどを知ることができる場所にしたいと考えています。すべてを一度に伝えるのは難しくても、「ここに来れば大山のことが分かる」という拠点があることは大きな意味を持ちます。地域全体で支え合いながら、そうした仕組みをつくっていきます。

合意形成とリーダーシップ

篠原 国の事業を進めるうえで、地域の主体をどうつくるかは常に課題になります。

村田 最終的には、地域の中で「誰が主体となって進めるのか」を決めていく必要があります。リーダーとなる人が一定の方向性を示し、それを周囲が支えたり、修正を加えたりしながら合意形成を図っていく。そのプロセス自体が、地域の力を高めることにつながると考えています。

鼎談の様子

鼎談の様子

第5章 観光の未来へ 体験、ストーリー、そして「住んでよし、訪れてよし」

篠原 ここまで、大山阿夫利神社の歴史や信仰、そして文化財の継承について議論してきました。最後に、これからの観光のあり方について、改めて話を伺います。まずは、大山ならではの体験づくりについて、目黒宮司はいかがお考えでしょうか。

目黒 やはり大事なのは、「大山でなければできない体験」をどう形にするかです。よく言われるのが、「大山には温泉がない」という話ですが、確かに温泉があれば分かりやすい魅力にはなります。しかし、それが大山らしさかと言われると、必ずしもそうではありません。大山のらしさは、信仰と生活が一体となって積み重ねられてきた歴史そのものにあります。
その一つの形として、白装束を身に着けて大山詣りを体験する取り組みがあります。装束を着て山に登り、祈りの意味や歴史を知りながら歩くことで、単なる登山とはまったく異なる体験になります。

当日は大山阿夫利神社の視察も同時に行われた。参拝の様子

当日は大山阿夫利神社の視察も同時に行われた。参拝の様子

地域の人が関わる観光

篠原 体験の中に「語り」が入ることは重要です。

目黒 単に体験メニューを用意するだけではなく、地域の人間が関わり、同行し、語ることが大切だと考えています。実際に、神主が集合場所まで出向き、バスに同乗して大山に向かう途中から歴史や信仰の話をする取り組みも行っています。そうすることで、訪れる方は大山に着く前から理解を深めることができ、体験の質も大きく変わります。

日帰り観光の壁と宿坊の可能性

篠原 首都圏に近いがゆえに、日帰りで帰ってしまうという課題もあります。

目黒 多くの方が日帰りで帰られてしまうのが現状です。その中で、宿坊の再生は非常に重要なテーマになります。宿坊は、単なる宿泊の場ではなく、信仰や文化を体験として深める場所です。インバウンドの方々も、箱根などに泊まりながら日本文化を体験したいというニーズを持っています。そうした層に対して、大山の宿坊が持つ価値をどう伝えていくかが、今後の大きな可能性だと感じています。

廃業した宿坊。現在は施設の利活用が検討されている

廃業した宿坊。現在は施設の利活用が検討されている

外部の視点と新しい発想

篠原 地域内だけでなく、外部の力をどう取り入れるかも重要です。

目黒 地域が小さい分、どうしても発想が内向きになりがちです。若い人たちの意見や、外部の専門家の助言を取り入れながら、地域のらしさを再定義していく必要があります。ただ、提案を受けても、それをどう回していくかが難しいのも現実です。だからこそ、こうした場で多くの人と意見を交わし、少しずつ形にしていくことが大切だと感じています。

ストーリーが観光を支える

篠原 村田長官、こうした体験やストーリーづくりについて、国としてはどのようにお考えでしょうか。

村田 観光地の魅力は、単にモノがある、景観が良いということだけでは成り立ちません。その背景にある歴史や物語を、いかに分かりやすく伝えるかが重要です。大山詣りのように、長い時間をかけて積み重ねられてきたストーリーは、それ自体が大きな価値を持っています。それを「見える化」し、知らない人にも伝わる形にすることが、これからの観光には求められます。

大山阿夫利神社の下社に隣接する人気のカフェ「茶寮 石尊」

大山阿夫利神社の下社に隣接する人気のカフェ「茶寮 石尊」

観光が生む誇りと幸福度

村田 地域の皆さんが話し合い、自分たちの地域の価値を再確認することは、郷土愛や誇りにつながります。観光は、経済効果だけでなく、住民の幸福度を高める役割も果たすものです。そのためにも、「住んでよし、訪れてよし」という観光地づくりを進めていく必要があります。観光庁としても、予算や制度、ノウハウの面から、地域の取り組みを引き続き支援していきたいと考えています。

地域の覚悟と未来

目黒 この地域は、人口も少なく、決して大きな力を持っているわけではありません。しかし、行政を含め、地域間の協力体制は非常に強いと感じています。多くの人を迎える中で、地域がどう生きていくのか。その問いに真正面から向き合いながら、伝統を守り、次につなげていく。それが今、大山に求められていることです。

神社内を、目黒久仁彦権祢宜が案内

神社内を、目黒久仁彦権祢宜が案内

結び 文化を未来へつなぐ観光へ

大山阿夫利神社で行われた鼎談は、観光の「成功」の先にある課題と可能性を浮き彫りにした。インバウンドの拡大という追い風の中で、問われているのは「どれだけ来てもらうか」ではなく、「何を伝え、どう残すか」である。約2,200年にわたり、人々の祈りと生活を支えてきた大山。その歴史は、日本の旅の原点であり、現代観光が進むべき方向を静かに示している。

観光は、文化を消費するものではなく、文化を未来へつなぐための装置となり得る。「住んでよし、訪れてよし」という理念のもと、地域の誇りと幸福度を高める観光が、いま確かに動き始めている。

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