人手不足への課題やや改善、国の支援への声が拡大 JATA・インバウンド受入拡大の意識調査第4回結果
日本旅行業協会(髙橋広行会長、JATA)は9月25日、インバウンド旅行客の受入に関する国内の受入事業者の意識調査の結果をまとめた。課題などを抽出、今後の受入拡大につなげる。
調査は今回が第4回目。7月に旅行会社や宿泊、輸送、自治体らを対象に行い、1107件の回答を得た。その結果からインバウンド受入に関する現状に加え、2030年目標への取り組みの状況やカーボンニュートラル・脱炭素に関する認知度などをまとめた。
2024年のインバウンド受入のべ人数は、67%が10万人未満。21%は取り扱いがなかった。将来インバウンドを受け入れる計画があるかは前回より11ポイント減の33%、予定なしの理由は前回調査よりやや改善されているものの人手・人材不足が56%と依然として高い。観光客数の受入状況は、国内旅行を含む全体、インバウンドともに24年の同等の水準。
インバウンド客の多い時期は桜の春や紅葉の秋が高い傾向は変わらない。前回より両季節へ集中している。そのほかは5、6月、夏休みやクリスマス、旧正月も。
インバウンドの旅行スタイルは、個人レジャーが70%、団体レジャーが67%で突出。MICEや学生団体など団体の受入が拡大している。
新たに発達した、または注力している観光コンテンツは高付加価値旅行、ガストロノミーが高く、前回トップだったサステナブルツーリズムは浸透しほかのコンテンツに組み込まれたことで割合が減少、3位となった。以下、アドベンチャ―ツーリズム、酒ツーリズムと続き、傾向は前回と大きく変わらないが、今回から選択肢に加えたスポーツツーリズムがスノーツーリズムを上回った。日本の伝統産業や文化、日本庭園、日本遺産めぐりといった日本ならではのコンテンツ、サブカルチャーへの高まりもうかがえる。
観光庁が掲げる2030年の目標への認識と取り組み状況は、目標を設定している割合が54%だが、すでに施策を実施している割合は17%にとどまった。旅行会社や自治体、観光協会の施策展開が進んでいる。注力する施策は人材確保や設備改善など受入体制の拡充が48%でトップ。地域コンテンツの開発、高付加価値化・サービス開発が続く。
インバウンド重点市場は、台湾が51%で突出。中国、北米、欧州、香港と続き、東アジアへの依存度が高い。中国は回復傾向にあり、北米や欧州は上昇。将来の見通しは欧州や東南アジア、台湾・オセアニア都築、新規市場を開拓しようという意識を感じさせる結果になった。
予約チャネルは大半が国内・海外の旅行会社経由という傾向は継続しているが減少傾向。OTAは前回同様のレベルと想定される。
インバウンド受入の課題については、44%が人手不足や人材不足と回答。改善はしているものの、まだまだ最大の課題だ。待遇の改善や就職希望者の少なさ、労働環境の改善が主な要因だが前回より大幅に減少し課題の改善がみられる。ただ、インバウンドに対応可能な人材の不足が目立ち始めた。
国や政府の支援、官民連携、広域連携、観光インフラの整備といった自治体関係の課題、オーバーツーリズムが前回より上昇。全体機に課題は未解決との回答が57%と過半数を超え、まだまだ取り組みが必要だ。
コスト上昇への対応は、前回と比較して価格に反映させた企業は全体の55%と11ポイントの減少。これ以上の価格反映は難しいと考えている事業者が増えている。
大阪・関西万博については、これを契機にインバウンド誘致の取り組みを実施・検討した回答は全体の15%に対し、関西に拠点がある回答者は28%と大きく上回る。万博効果はインバウンド受入人数の増加や日本の観光ブランド力の強化などが挙がるが、特に効果はない、もしくは限定的が55%となるなど全国的な効果があったかは懐疑的だ。
カーボンニュートラル、脱炭素社会における政府目標、グラスゴー宣言の理解度は69%。旅行会社や自治体、観光協会が高い。取り組みを実施している事業者は25%で、宿泊などがまずまず取り組みを進めている。
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