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嬉野市が射程するまちづくり 村上大祐市長VS山田桂一郎氏対談(4) 仮説を立てる/佐賀嬉野特集

女性目線でマーケティング “母娘旅”誘致がターゲット

−嬉野市の人口動態はどうなのですか。

村上 塩田町と合併当時は3万400人いましたが、今は2万5600人ぐらいです。5千人減っています。

山田 65歳以上は減少に転じていませんか。

村上 そうですね。

山田 これは善し悪しがあって、消費者が減るというのはもちろんあるのですが、65歳以上が減ると基本的に社会保障費も減っていくので、そのお金を若い人に向けられるということがあります。都市部はこれから高齢化が進みますが、地方は高齢者も減っていく。だからこそ、若い人のためにというまちづくりができるわけです。

村上 女性人口が減ると加速度的に人口は減っていきます。そこで、市政課題にも女性活躍推進を挙げています。あらゆる公共サービス、公共施設に女性目線を掲げていく。観光戦略としてはかなり早くから美肌の湯など女性目線を入れてきた成功事例もあり、いわゆるF1層(20−34歳の女性)は消費の主役でもあるので観光戦略を転用して市民サービスにこそ女性活躍の目線を入れていかなければなりません。

山田 そこは大事だと思います。例えば、嬉野温泉の旅館でどんなに働いてもらっても隣町に住まれて通われては困ります。当地に住んでもらわないといけません。

村上 観光地として女性に選ばれるのは非常に大事な要素です。今まで美肌の湯として漠然と女性と言ってきたものの、どんな女性というところまでマーケティングで意識してきませんでした。

山田 嬉野温泉が幸せにできる女性客って誰?ということなので、年齢や収入などはあると思いますが、仮説を立てて実証していくしかありません。ぜひ母娘という仮説は立てもらいたい。結構、消費単価が高いです。なぜか、お父さんが加わると消費単価が下がります。母と娘の方がワンランク上のホテルに泊まり、飲むお酒もワンランク上がるのです(笑)。

−世の多くの親父が、思い当たる節が(笑)。

村上 母娘二代で美しくなるというテーマ設定はいいですね。

山田 ほかの温泉地もやっていそうで、やっていないんです。母娘を徹底的に喜ばせる。これまで美肌で女性を喜ばせる取り組みをやっていたので、一度仮説を立てて実証していただきたいと思います。

村上 サッカーに例えると東京方面や女性向けとか言って、前に向けてボールは蹴り込んでいるのだけれど、ゴールするまでの戦略は全然ないみたいなものですね。ゴールの右隅に入れるという目標まで設定して、そのゴールまでつなぐ緻密さは必要だと思います。

山田 人材育成とともに、トライ&エラーはあって当たり前です。精度を高めていくしかありません。

村上 手数が必要なんですね。陣地内に味方がいないと、どんなにいいパスを送ってもゴールには入りません。だからこそ、人をつくりましょうという話になるわけですから。冒頭申しあげたように100カ所も魅力的なポイントをつくるのであれば、なおのことです。そこをマネジメントする人が最低100人はいないとダメなわけですから。

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