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公的制度を生かし「事業承継」 シリーズ「旅館ホテルの事業再生」(3-3) 事業承継税制の概要について

数年前から税理士を中心に事業承継プロジェクトを立ち上げ、顧問先から100件以上の相談を受け付けております。詳細については、ティグレパートナーズの資産税の専門家である川口税理士より事業承継税制の概要についてご説明させていただきます。

◦事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。

◦平成30年度税制改正では、この事業承継税制について、これまでの措置(以下「一般措置」といいます)に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や、納税猶予割合の引き上げ(80%から100%)等がされた特例措置(以下「特例措置」といいます)が創設されました。

◦この特例措置につきましては、事前の計画策定が必要ですが、5年以内(2018年4月1日から2023年3月31日まで)の特例承継計画を提出することにより、適用期限10年以内(2018年1月1日から2027年12月31日まで)の贈与・相続等により取得した株式について納税猶予を受けることができます。

対象となる株式数は全株式に拡大されており、納税猶予割合も100%となっています。

承継パターンについても複数の株主から最大3人の後継者までに拡大されています。

雇用確保要件についても承継後5年間は、平均8割の雇用維持が必要でしたが弾力化が図られています。

また経営環境変化に対応した新たな減免制度があり、相続時精算課税の適用についても60歳以上の者から20歳以上の者への贈与と対象となる者の範囲が拡大しています。

◦贈与税の納税猶予制度については、後継者が贈与により取得した株式等(ただし、議決権を行使することができない株式を除きます)に係る贈与税の100%が猶予されます。

本制度の適用を受けるためには、まず、都道府県に対して「特例承継計画」を提出してから、贈与を実行し、都道府県知事の「認定」を受け、税務署に申告することが必要です。

報告期間中(原則として贈与税の申告期限から5年間)は代表者として経営を行う等の要件を満たす必要があり、その後は、後継者が対象株式等を継続保有すること等が求められます。

また、後継者が死亡した等の一定の場合には、猶予された贈与税が免除されます。

◦事業承継税制(特例)の適用を受けるためには、まず、特例承継計画を作成し、2018年4月1日から2023年3月31日までに都道府県庁に提出し、確認を受ける必要があります。

特例承継計画には、後継者の氏名や事業承継の予定時期、承継時までの経営見通しや承継後5年間の事業計画等を記載し、その内容について認定経営革新等支援機関による指導および助言を受ける必要があります(もちろん、税理士法人ティグレパートナーズも認定経営革新等支援機関です)。

川口司郎さん

川口 司郎さん
税理士法人ティグレパートナーズ
税理士

まずは特例承継計画の作成提出

◎税理士からの一言

ぜひ、特例承継計画については提出しておきましょう。提出することによるデメリットはほとんどありません。提出後、贈与することを止めてもいいですし、贈与までであれば後継者の変更もできます。

それに対して提出しないことによるデメリットはいっぱいあります。期限内に提出しないと特例措置は受けられないことになります。

特例承継計画の作成・提出につきましては、ぜひ弊法人にご相談ください。

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