サンシャイン水族館で日本初の孵化成功!「ゾウギンザメ」の赤ちゃん誕生
サンシャイン水族館(東京・池袋)は1月30日、 2019年3月から飼育展示する、進化速度が極めて遅い脊椎動物「ゾウギンザメ」の日本初となる孵化を確認したと発表した。生きた化石と言われるシーラカンスよりも進化速度が極めて遅い脊椎動物の新たな生体を紹介する。

ゾウギンザメの赤ちゃん
1月27日・28日にそれぞれ1個体ずつ孵化。また、 その他に3個の卵をバックヤードで飼育している。(1月30日時点)。 2019年5月に同館で飼育しているメスのゾウギンザメのうち1個体の産卵が確認され、 その後も次々と産卵し、 合計18個の卵を産んだとのこと。 ゾウギンザメの生息地であるオーストラリア南部の水温を参考に飼育水温を12℃と15℃の2パターンに分け、 リスク分散および発育の速度を比較しながら育成。 5日に1回のペースで胚発生・心拍の有無を調べるためエコー検査を実施しながら経過を見守ってきた。
※産卵したゾウギンザメは当館搬入前に1年以上オス個体との混泳がない状態であったため、 過去の交尾で得た精子を長期間体内に保管していたものを使って受精したか、 単為発生(交尾をせずに繁殖する)の可能性があると考えられている。
一方、残念ながら15℃で管理していた卵については、 胚発生の観察はみられたものの、 10月中旬までにすべて胚発生が止まっていることを確認。 12℃で管理していた卵のうち2個については今回孵化に至った。
ゾウギンザメの日本での孵化事例は今までになく、 今回の孵化は日本で初めての出来事となる。
「今後も孵化個体の成長を通して、 ゾウギンザメの生態研究やさらなる繁殖に力を入れ、 水族館の使命のひとつである生息域外における保全に努めていく」と同施設。

ゾウギンザメの卵

産卵中のゾウギンザメ(2019年5月)
ゾウギンザメ(赤ちゃん)概要
・1月27日・28日にそれぞれ1個体ずつ孵化。
・孵化時の体長は目視で2個体とも15cm程度と推定。
・現在バックヤードで飼育しているため、 観覧不可。 展示開始日は改めて知らせる。

ゾウギンザメ(成体)
ゾウギンザメ(成体)展示概要
・展示場所:サンシャイン水族館 本館1F「冷たい海」水槽
・展示個体数:メス4個体、 オス1個体
※現在、 日本国内で「ゾウギンザメ」の展示を行っているのは同館を含め2館のみとなります。

ゾウギンザメ(成体)その2
参考資料・謎の多い魚 ゾウギンザメに関して
和名:ゾウギンザメ ※特徴的な吻端部がゾウの長い鼻のようにみえることから名づけられた。
英名:Ghost shark(Elephant shark, Elephant fish表記もあり)
学名:Callorhinchus milii
分類:軟骨魚綱 ギンザメ目 ゾウギンザメ科 ※ギンザメ目は3科40種から成り立ち、 ゾウギンザメ科は3種(いずれも和名ではゾウギンザメ)が知られる。 3種とも南半球の海に生息し、 日本近海ではみられない。
生息地域:太平洋南西(南オーストラリアおよびニュージーランド)
生息環境:大陸棚・砂泥底環境。 普段は水深200m付近に生息、 産卵時は浅瀬に移動してくる。
体長:一般的なサイズは70cmほど(大きなものでは125 cmの記録あり)。
ゾウのように長い鼻が特徴
・ゾウのように長い鼻にみえる特徴的な尖った長い口先(吻端)は「ロレンチーニ器官」と呼ばれ、 生き物が発する微弱な電流を感知することができる。 海底の砂の中にいる餌となる甲殻類や貝類を探すのに適している。
・大きな胸ビレをパタパタと上下に動かし羽ばたくように優雅に水中を遊泳する。
・2014年、 ワシントン大学医学部の研究において、 ゾウギンザメのDNAを解析し他の脊椎動物ゲノムとの比較を行った。 研究の結果、 ゾウギンザメのゲノムの進化速度が既知の脊椎動物の中でも極めて遅いことが判明。 これは4億年近く姿を変えていないとされるシーラカンスよりも進化速度が遅いということになる。
・ゲノムから骨の形成過程についても知見を得られており、 今後、 我々人間の骨粗しょう症の治療に役立つとされている。
・防御機構が非常に原始的で、 免疫系細胞がほとんど存在しないにも関わらず、 長寿である。
繁殖について
・春が繁殖のシーズンとなり、 浅瀬の河口や沿岸の湾へと移動をする。 1度に2つの卵を砂泥底に産みつける。 卵は角質に覆われていて硬い。 卵の大きさは20 cm程度。 約8カ月かけて卵黄から養分を摂り孵化する。 孵化したての稚魚のサイズは15 cm程度。

泳ぐゾウギンザメの赤ちゃん
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