SDGsで観光まちづくり 近畿観光まちづくりアドバイザリー会議、大阪府阪南市へ提案書交付
国土交通省近畿運輸局が設置している近畿観光まちづくりアドバイザリー会議(吉兼秀夫座長=京都外国語大学特任教授)が2022年度の重点支援地域に選んでいた大阪府阪南市に観光まちづくりへの提案書を交付した。3月8日、吉兼座長と近畿運輸局観光部の岡本昇部長が阪南市役所を訪れ、水野謙二・阪南市長に手渡した。
同会議は旅行会社や観光シンクタンク、鉄道会社、観光関連団体などに所属する14人の委員で構成。06年度から、近畿2府4県で支援を希望する自治体を選定し、観光商品化やマーケティングの視点から観光まちづくり推進の方策を提言している。
22年度重点支援地域に選ばれていた阪南市は関西国際空港のほぼ対岸に位置し、大阪湾と和泉山脈に挟まれた「海と山がであうまち」を標ぼう。近年は大阪湾で初めて養殖を本格化させた牡蠣を“看板商品”としてアピールするとともに、体験型アクティビティやワーケーションなどにも取り組んでいる。特に、内閣府からSDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業に選定されたことから、企業などと連携したブルーカーボンやグリーンカーボンにも積極的に取り組んでいる。
反面、まちの知名度が低く、観光資源の連携による回遊性の向上や情報発信などに課題を抱えていた。
同会議では昨秋、市内を視察。現地関係者と意見交換や複数回の会議を重ねて阪南市の観光まちづくりの方策を検討。阪南市に来てほしいペルソナを設定し、環境意識の高い大阪市内など近隣のファミリーや、関空隣接地の立地を生かした訪日外国人観光客が“日本で最後に立ち寄るまち”としてアピールしていくことを提案した。

阪南市波有手の牡蠣小屋を視察する委員
また、特産の牡蠣やなにわ黒牛、日本酒などを生かしたガストロノミーツーリズムの構築や、SDGsを推進する企業連携を活用した情報発信、2025年の大阪・関西万博に合わせた阪南市のパビリオン化などについても提案に盛り込んだ。
交付式で吉兼座長は「SDGsに賛同する市民、外部の人を巻き込んで商品化していってほしい。みる、する観光から『支える観光』として来訪客に支持してもらう環境をつくってください」と語り、岡本部長は「視察や会議を通して、市長をはじめ皆さんの熱い思いを一番感じた。住んでよし訪れてよしは、市民のまちを愛するところから始まります」と述べ、エールをおくった。
これに対し、水野市長は「貴重な提案書をいただいた。里海、里山があることが武器。SDGsを使い価値を高めていきたい。万博に向けて引き続きアドバイスいただけるようお願いします」と話していた。

水野市長(右)に提案書を手渡す
吉兼座長(左端)と岡本部長
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