島しょ地域でMICE 東京観光財団、助成金など開催支援策
公益財団法人東京観光財団(TCVB)は11月28日、大阪市内で東京都島しょ地域におけるMICEセミナー・情報交換会を開いた。東京都の島しょ地域のうち“常春の島”と呼ばれ、MICE受入地として近年注目されている八丈島の魅力について、関西の旅行会社のMICE担当者らにアピール。特に、冬期が島しょ地域のMICE開催の絶好機として、MICE主催者を対象にした助成金情報も紹介した。
東京都心の南方287㌔メートルに位置する八丈島。八丈富士と三原山の2つの火山がつながったひょうたん型をしており、山手線の内側と同じくらいの69・11平方㌔メートルの面積を持つ。2024年度の「水がきれいな海水浴場ランキング(ダイヤモンド・オンライン)」で第1位に選ばれた底土海水浴場をはじめ海陸ともに豊かな自然を誇るが、近年注目されているのはホエールウォッチング。15年ごろから、体長15㍍にもなるザトウクジラの回遊が島の周囲で始まり、12―3月にかけて海上ツアーが行われている。八丈島観光協会の田村真吾事務局長によると「昨シーズンの海上ツアーにおける遭遇率は100%」だった。海岸のすぐそばを泳ぐことから、島内の足湯や町営温泉の露天風呂などからも運が良ければ肉眼で見えるそうだ。田村事務局長は「温泉に浸かりながらクジラが見られるのは、おそらく世界でも八丈島だけではないか」と胸を張る。
MICE施設については八丈町役場庁舎内の多目的ホール「おじゃれ」がある。自然光を取り入れることもできるホールで、15年にグッドデザイン賞を受賞。462席あり、1階席は可動式で、260平方㍍の平土間としても利用できる。庁舎内の商工会研修室などの会議室も必要に応じて利用することができ(事前予約制)、シンポジウムなどの分科会開催などに対応する。
MICEの運営や誘致に詳しいJTBコミュニケーションデザインの平間令子さんは、八丈島でMICEを開催する利点を「MICE施設が一カ所に集中しているので運営がしやすいこと」と指摘。島内には大型3台、中型4台、小型3台の貸切バスがあり、平間さんは「一見少ないと思うかもしれませんが、対利用者数を考えると十分」とし、何より島内の道路の整備が十分で渋滞せず「プログラムの実働時間がフルに使えるのもメリット」とした。八丈島でのMICEは「開放感(OPEN)、貸切感(PRIVATE)、密着した空間(CLOSE)」が価値とし、中型バス乗車定員程度の25―30人を一単位として3グループぐらいの規模がプランニングしやすいと旅行会社に勧めた。
八丈島へのアクセスは、羽田空港から片道55分で1日3往復している。ANAあきんど東京支店の宮原雅実さんは往路復路とも昼行便が団体向けとし「機材は166人乗りで、団体で利用しやすくなっています。就航率は例年95%前後の実績です」と伝えた。ほかに東京・竹芝ふ頭から船が1日1便運航し約10時間30分で結んでいる。
TCVBコンベンション事業部の瀧川唯さんは、島しょ地域のMICE開催に向けて設定している様々な助成金について説明。50人以上の参加者で島しょ地域に1泊以上予定しているMICE団体について、誘致段階から助成する。オーガナイザーの下見などに対応する誘致資金助成の助成率は10分の10で上限500万円。開催資金助成については、会場借上げ費や島内移動費などに対して助成率10分の10、上限1500万円を助成する。さらに、開催支援プログラムとして島内の半日観光ツアー、八丈太鼓などアトラクションの実施についても支援。「関西のMICE関係者の皆様にも、ぜひ助成金を活用し島しょ部でのMICE開催を検討してください」と呼びかけていた。
なお、TCVBでは25年1月22日に「東京都MICEシンポジウム」を港区の竹芝と八丈島で二元開催する。国際会議誘致を視野に島しょ地域でのMICE開催について有識者が議論する予定だ。
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