楽しく読めて ときどき役に立つ観光・旅行専門紙「トラベルニュースat」

ポールトゥウィンが「JAPAN LIFE PORTAL」開設、外国人雇用定着の新基盤で生活支援強化

25/11/12

外国人人材総合サービス「Stepjob」を展開するポールトゥウィン(愛知県名古屋市)はこのほど、外国人生活者と企業を結ぶ多言語ライフサポートプラットフォーム「JAPAN LIFE PORTAL(ジャパンライフポータル)」をオープンした。日本で暮らす・働く外国人の生活を支援するとともに、外国人を顧客・従業員・利用者として受け入れる企業や団体に向けて、新たなコミュニケーションの場を提供する。

インバウンドによる訪日旅行客の増加にともない外国人の姿を見掛ける機会は多くなったが、なにもこれは観光だけに限らない。日本に住む在留外国人も2024年には約380万人に増加、このうち就労する在留外国人は約230万人に拡大している。同社の行平澄子氏は、「総人口に占める在留外国人の割合はまだ3%程度。特に医療・福祉、建設業などで顕著な日本の深刻な人手不足に対応するには、採用から受け入れ、定着するまでの十分な支援体制を整える必要がある」と指摘する。このため同社では、日本で就労する外国人の生活面での悩み事に対応したウェブサイト「JAPAN LIFE PORTAL」を開設した。

 

専門職や即戦力に強いニーズ

「介護や製造業といった分野において、外国人材の活用が不可欠となっている。そうした日本の現実を強く示している」と行平氏が注目しているのは、就労ビザの中でも著しい伸びを示す2つの外国人在留資格だ。そのひとつ、「技術・人文知識・国際業務」(技人国ビザ)は28万人、9.8%(令和2年末)から42万人11.1%(同6年末)へ、また、「特定技能」は圏外(同)から28万人、7.5%(同)に増えている。ちなみに技人国ビザとは、専門的な知識やスキルを生かして、日本の企業でエンジニア、営業、通訳などのホワイトカラー職に従事するための在留資格のこと。また特定技能ビザとは、人材確保が難しい介護や建設など特定産業16分野において即戦力となる外国人の就労を目的とした在留資格で、2019年4月から新たに設けられた。

少子高齢化が進む日本ではこのところ、企業などで外国人人材の雇用に踏み切るケースが増えている。この10年間で技人国、特定技能、介護福祉士、看護士など2000人以上の外国人人材を日本の企業や医療・福祉分野などに紹介してきた同社では、このほど群馬県や福岡県の地方自治体でも介護現場の人材不足解消に向けた採用活動のサポートを始めた。

インバウンド向け人材求める観光業

外国人雇用の重要性は、訪日外国人が増加している観光業も同様だ。「観光業関連においては、インバウンドに対応できる外国人人材を採用したいという声が今までも強く、宿泊業や外食業などですでに実績もあるが、コロナ禍が明けてからは一層、そのニーズが強まっている」と行平氏。最近では、宿泊業や外食業のほか外国人向けの化粧品を扱うなどの小売業や空港スタッフなどで中国語や英語ができる人材が求められているという。「これからは東南アジアなどからの旅行客も増加すると見られ、中国語や英語に限らずさまざまな国の言語を話せるスタッフが求められようになってくる」と予想する。

戸惑う外国人と企業

外国人人材が日本に来ても社会制度や文化の違いがあり、「どこで何をすればいいの?」「言葉がわからない」「信頼できる情報がほしい」などの不安や疑問がなかなか解消できない、と悩む外国人は多い。また、外国人人材の受け手である企業側も戸惑うことが多く、サポートする地方自治体や支援機関も過去の事例やノウハウが不足しているため、充分な支援体制を築けていないのが実情だ。これではせっかく来てもらった外国人人材が日本に「定着」するのは難しい。外国人人材が定着しなければ、日本の人手不足は一向に解消できないという現状に行平氏は、「外国人人材が即戦力となるだけでなく、地域社会とともに歩むパートナーとして受け入れられるようサポートすることが重要だ」と強調する。

もっと快適に、自由に

同社は「Stepjob」事業を通じて外国人人材の面接時の通訳からビザ申請手続き、引っ越しなどの入職時のサポート、そして入職後の定着支援までの一貫した支援を提供。その際に採用条件や職場環境を正確に伝え、入社後のギャップをなくすことに重点を置いてきたという。「その結果、半年後の定着率は95%以上、1年後も90%以上という高い実績を上げている」と話す行平氏は、立ち上げから同事業に関わってきた。こうした経験を踏まえて開設したのが、ウェブサイト「JAPAN LIFE PORTAL」だ。

同サイトにはApaman Property、レオパレス21、クレディセゾンほか外国人生活支援に実績がある多くの企業が参画しており、通信、住宅、金融、保険など暮らしに欠かせない部門の情報を多言語対応によるワンストップで提供。「日本での暮らしをもっと快適に、もっと自由にという思いを込めてサイトを作った」と行平氏は話す。外国人の生活基盤が安定することで、仕事への集中や日本社会への貢献が促され、結果として外国人雇用の成功と定着につながると見ている。

なお、同サイトは在留外国人だけでなく観光で来日した訪日旅行客なども対象にしており、利用料は無料だ。「JAPAN LIFE PORTAL」のURLは、https://japanlifeportal.stepjob.jp/

この記事をシェアする
購読申し込み
今読まれているニュース
地旅
今すぐにでも出たくなる旅 最新
持続可能な観光島四国へ・高知編

四国ツーリズム創造機構や四国4県、各市町村が進めている観光施策は「持続可能」。高度経済成長...

持続可能な観光島四国へ・香川編

四国ツーリズム創造機構や四国4県、各市町村が進めている観光施策は「持続可能」。高度経済成長...

持続可能な観光島四国へ・徳島編

四国ツーリズム創造機構や四国4県、各市町村が進めている観光施策は「持続可能」。高度経済成長...

夕陽と語らいの宿ネットワーク
まちづくり観光研究所
地旅
関西から文化力
トラベルニュースは
文化庁が提唱する
「関西元気文化圏」の
パートナーメディアです。
九観どっとねっと
ページ
トップへ